A Thousand Blessings
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2005年08月29日(月) TBSテレビ50周年記念ドラマ 『広島・昭和20年8月6日』

TBSテレビ50周年、ドラマ特別企画『広島・昭和20年8月6日』を
90分間だけ見た。

駅のシーン。
学徒動員されていく末の弟を見送る三姉妹。
三女が大声で思いのたけをぶちまける。
「動物が好きで花が好きなよしゆきが何で、戦争に行って人を殺さなければ
いけないの?!誰がこんな戦争を始めたの?!」
まわりには人が大勢いるにもかかわらず。

それを見ていた74歳になる我がお袋が呟く。
「これは嘘だよ。こんなこと口に出したら
憲兵にすぐ連行されるよ。そういう時代だったんだ。
どうしてこういう嘘をテレビはつくのかい?まだあの戦争の体験者が
生きていることを忘れてるのかね?」

このドラマ、驚くべきは全く演技をしようとしないエキストラたち。
役者のバックで木偶の坊のように立ちすくむだけ。
これはちょっと、ひどい。演出の手抜きである。

続けてお袋が言う。「あの時代をちっとも描ききっていないよ。
綺麗な女優さんを揃えただけ。
あの時代の音も匂いも感じられないドラマだね。」
HIROSIMAを題材にした映画やドラマは数多くあるが、
近年では1989年の今村昌平の「黒い雨」に強く心を打たれた、と言う。

ドラマの全編に漂う嘘っぽさ。
雰囲気で訴える平和。高学歴のエリートが頭で作ったドラマという気がした。

さすが“涙そうそうプロジェクト”。
さんまが主演した『さとうきび畑の唄』もひどかったが、
これはそれ以下だ。
プロデユース・八木康夫、脚本・遊川和彦。
なるほど、彼らならこの程度だろう。


追加

ドラマの最後を見るために再びテレビをつけた。
思わず目を伏せたくなる原爆被害者の写真やフィルムの
バックに夏川りみの“涙そうそう”を流す無神経さに腹が立った。
製作者はどこか神経が普通ではない。
音楽など流さなくて良い。無音でかまわないのだ。
ただ凝視すればよいのだ。

もうひとつ、西田敏行が学生に「戦争はいけない」と説くくだり。
すべてを戦争という「物事の結果」のせいにしてしまうことで
学生たちは「物事の原因」を考えることをやめてしまうにちがいない。
やめてしまえば、いつかはまた同じ原因に始まり
結果として戦争は必ず起こるし、その時、過去の日本の過ちを
語り伝えられる人間はもうこの世にいない。




響 一朗

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