A Thousand Blessings
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2005年07月21日(木) |
Zappa In New York 1976 |
偉大なるワーカホリック、故・フランク・ザッパの全仕事について 考えていたら、眠れなくなった。(それは嘘。よく寝た)
たとえば、あなたが一番好きなビートルズのアルバムは? そんなアンケートがあったとする。 おそらく「サージェント・ペパー」か「アビー・ロード」、 あるいは「リボルバー」あたりに票は集中するだろう。 ビートルズより遥かに公式アルバムが多いビーチボーイズでも 「ペットサウンズ」か「サンフラワー」、「サマー・デイズ」あたりに。 票が分かれてもせいぜい5枚くらいに集中するはず。
では、(いきなりだが)あなたが一番好きなフランク・ザッパのアルバムは? さて、どうなるだろう?
以下はザッパの公式アルバムのリストだ。
Freak Out! Absolutely Free Lumpy Gravy Cruising With Ruben & The Jets We're Only In It For The Money Uncle Meat Hot Rats Burnt Weeny Sandwich Chunga's Revenge Weasels Ripped My Flesh Fillmore East, June 1971 200 Motels Just Another Band From L.A Waka / Jawaka The Grand Wazoo Over-nite Sensation Roxy & Elsewhere Apostrophe One Size Fits All Bongo Fury Zoot Allures Zappa In New York Studio Tan Sleep Dirt Sheik Yerbouti Orchestral Favorites Joe's Garage Acts 1,2&3 Baby Snakes Shut Up 'n' Play Yer Guitar Tinsel Town Rebellion You Are What You Is Ship Arriving Too Late To Save A Drowning Witch London Symphony Orchestra Vol. I & II The Man From Utopia The Perfect Stranger: Boulez Conducts Zappa Francesco Zappa Thing-Fish Does Humor Belong In Music Them or Us FZ Meets The Mothers Of Prevention Jazz From Hell Guitar You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 2 You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 1 Broadway The Hard Way You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 3 Freaks & Motherfu*#@%! Unmitigated Audacity Make A Jazz Noise Here The Ark The Best Band You Never Heard In Your Life Tis The Season To Be Jelly Saarbrucken 1979 You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 4 Piquantique-Stockholm 1973 You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 6 You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 5 Playground Psychotics The Yellow Shark Ahead of Their Time Civilization Phaze III Strictly Commercial The Lost Episodes FZ Plays FZ A Memorial Tribute Lather Strictly Genteel Have I Offended Someone ? Plays The Music Of Frank Zappa Cheap Thrills Mystery Disc Cucamonga Son Of Cheep Thrills
ごく最近のものは分からないが、少なくともオフィシャルでは 上記の72枚のアルバムが発表されている。(そのうち60枚が存命中に 発表されている。ただし、亡くなったあとのアルバムもザッパの公式アルバムとしてみるのが正しいと考える。 自己の作品を完全管理していたザッパの 意思は遺族に十分伝えられていたからだ。ザッパの名を汚すような 作品は死後発表されていない。と思うのだが。) 72枚!!!!驚くしかないでしょ。 しかもこれ以外にもザッパ自身によるミックス違いやオーヴァー・ダビング違いがかなりの枚数ある。 これらは同じ曲でもあまりに印象が違って聴こえるので、 公式オルターネイト・ヴァージョンという見方をしても良いと思う。 となると、最終的には100枚近くなるのでは?(絶句)
1966年にデビューして、1993年にこの世を去るまでに製作された 膨大な作品群。実働27年として、一年に平均2.6枚のアルバム。 一日の殆んどをスタジオワークかライブ演奏に費やしていたという。 飯を食って、セックスをして、寝る以外は、仕事。完璧なまでのワーカホリック。 作曲家・作詞家・アレンジャー・演奏家・歌手・プロデューサー・映像作家 文筆家・評論家。何もかも出来てしまった天才。 こんなアーチスト、他にはいないでしょ?
しかも驚くべきは、ザッパによって作り出された作品に たった1曲の駄作も存在しない、という点! さらに付け加えれば、ザッパは2匹目のドジョウを狙わなかった、という点。 商業的に成功しなかったザッパだから、狙う必要もなかったという 見方もできるが。 決壊したダムのように溢れ出る音楽的インスピレーションを アルバムというきちんとした形で残していったザッパは イメージから受ける狂気とは正反対の正気の塊だったにちがいない。 実際、ドラッグもやらなかったらしい。
あらゆるジャンルに跨るザッパの音楽志向。 ロック的観点からとか、ジャズ的観点からとか、クラシック的観点からとか、 そういう風に視点を定めてしまうと、実はザッパの音楽の面白さは 理解できなくなる。 ジャンルという観念を捨てて、音楽の中に入り込んでしまえば 楽しさは倍増するだろう。そしてそれこそがザッパの望んだ聴かれ方だと思う。
さてさて、長くなったが、最初の質問。 あなたが一番好きなザッパのアルバムは?
たぶん、20枚くらいに票が集中するのでは。それって、すでに集中とは いえないが(笑)
「今の」僕なら(ということは、20年前の僕や10年前の僕や1週間前の僕も当然存在していた事になるのだが。 同様に来週の僕も存在しているはず。) 『Zappa In New York』(オリジナルは1977年リリース。 当時の邦題は「雷舞イン・ニューヨーク」)の 未発表ヴァージョン収録の1991年版CDを迷うことなく選ぶ。 傑作ライブ・アルバムである。 作曲と即興のバランスが絶妙な均衡を保っている奇跡的な名演が 15曲収録されている。このアルバムのキー・パーソンは ザッパによって見出されたドラマーのテリー・ボジオ。これはまちがいない。
DISC1 (1)オッパイとビール (2)クルージング・フォー・バーガーズ (3)口の中にはもうやらないよ (4)パンキーズ・ウィップ (5)ハニー,俺みたいな男はどうだい? (6)イリノイの浣腸強盗
DISC2 (1)アイム・ザ・スライム (2)パウンド・フォー・ブラウン (3)マンクス・ニーズ・ウィメン (4)ザ・ブラック・ページ・ドラム・ソロ/ブラック・ページ#1 (5)大足のエマ (6)ソファ (7)ブラック・ページ#2 (8)拷問は果てしなく (9)ザ・パープル・ラグーン
響 一朗
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