A Thousand Blessings
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2005年07月10日(日) |
エルビス・コステロのデラックス・エディション |
たとえばアルバム「ゲット・ハッピー」(1980年作品)の 2003年デラックスエディション版(2CD)では、オリジナルの20曲に加えて ボーナストラック30曲(!)という信じがたい放出ぶり。 その内訳は、別テイク11曲、デモヴァージョン7曲、ライブヴァージョン4曲、 アルバム未収録曲8曲。
現在カタログに載っているエルビス・コステロ監修による デラックスエディション版には、少なくとも15曲以上の ボーナストラックが収録されている。 驚くべきは、それらすべてが意味のある録音であるという点。 完成形に対する原型としてのデモヴァージョン公開という 意味だけに留まらない、デモそれ自体が別テイクであるかのような コステロ的な「記録法」の重要性に驚いたり、 別テイクで試みたていたことが実は今の時代にフィットしたり、 ライブで剥き出しの感情をぶつける姿にハっとしてみたりする。 アルバム録音時のコステロ自身のありのままの姿を すべて一般公開しようとするそのサービス精神の裏には 録音物に対する絶対的な自信が伺えるのである。 それは、彼自身による信じられないほど面白い内容の ライナーを読めば、わかる。(「ゲット・ハッピー」では凝縮された 7ページにも及ぶライナー!)
そういうアーチストが今、いるだろうか? 僕が知る限り、コステロだけだ。 いや、過去にもいないはずだ。 ザッパは膨大な記録を残したが、 別テイク(あとからオーヴァーダビングされたものやリミックス違いなど) やライブヴァージョンはともかくデモは残していない。 ビートルズは解散後数十年してから お宝音源が登場したが、それでも数でいえば決して多いとはいえず、 しかもデモの録音状態があまりよくない。 ビーチボーイズも同様。あくまでも記録として参考程度という 内容に留まるものも少なくない。
もし今コステロの編集ベストCD-Rを作成しようと思ったら、 かつてのカタログ上の曲数の倍の中から選曲しなければならない。 それほど興味深い音源の数々が、宝ザックザク状態でCDに収められ 店頭に並んでいる。ファンはそれらすべてを購入しなければいけない。 そしてデビューアルバムから最新作まで、順番に1曲1曲丁寧に聴きこんでいく必要がある。 時間のかかる作業だが、そうすることによって、 いやそうすることでしかコステロという天才ワーカホリックの 核心にたどり着く事はできないと、僕は思っているのだ。
・'゜☆。.:*:・'゜★゜
なんてね(笑) そうは言っても、時間がないよね? だったら、いきなり次の5枚を買っちゃいましょう! マストアイテムね。僕が考える。
「ゲット・ハッピー」1980年
「インペリアル・ベッドルーム」1982年
「キング・オブ・アメリカ」1986年
「スパイク」1989年
「オール・ディス・ユースレス・ビューティ」1996年
あと、万人にお薦めはできないが 個人的偏愛ディスクとして 完全カントリーアルバム「オールモスト・ブルー」を。 グラム・パーソンズ周辺に興味がある人は即感動するよ! ちなみにデラックス・エディションのライナーは 何と!11ページにも及んでいました。 ↓
響 一朗
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