A Thousand Blessings
2004年1月〜最新ひとつ前に戻るひとつ先に進む


2004年08月25日(水) BRIAN WILSON PRESENTS 「SMILE」

決して嫌いじゃなかった石井恒だけど、
ミュージックマガジン9月号168ページの
チャンコロ(中国人の蔑称)発言で嫌いになった。
石原慎太郎と同じ単細胞のバカ。
ずっと昔、親父が「このチャンコロめ!」とテレビを観ていて怒鳴った。
その時、おふくろは親父をひどく軽蔑する表情を見せた。
そのことをよく覚えている。
人間が使う言葉の中でもほとんど最低ランクの言葉である。
こういう言葉を平気で使える神経が理解できない。
日本人に対する中国人の発言を受けてのチャンコロ発言だろうが、
いくら言論の自由だからと言って、
こういう最低の言語を中国人を「侮蔑する目的」で載せる事にOKした
高橋修編集長は反省すべし。(知らなかった、では済まない)
ミュージックマガジンの信用を落とすことになるぞ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「BRIAN WILSON/GOOD ELABORATION」
Royal Festival Hall,London Feb.24,2004
ジャケットには『BRIAN WILSON PRESENTS SMILE』と
書かれている!2枚組CD。

最高音質で有名なMOONRAKER RECORDSから発売された
ブートレッグだ。
僕もいろいろなブートを聴いてきたが、会場録音でありながら
ここまで「素晴らしくいい音」のブートに出会った事はほとんどない。
コーサート会場の最も音がいい席に座って聴いているような錯覚に
陥ってしまう。何というふくよかな音なんだろう!
CD1は58分、CD2は76分。計2時間14分。天国である。

さて、ビーチボーイズに興味がある人ならもうお分かりだろう。
これは今年行なわれた例のSMILEツアーのライブ録音である。
(「SMILE」の完全演奏はCD2の中の49分間)
萩原健太氏が狂喜していたあのツアーだ。


二度と正式な形では発表されないと思われていた「SMILE」が
ブライアン自身によって再プロデュースされて陽の目を見ることになった。
40年近く前にお蔵入りした作品だが、今回のツアー(スタジオ録音も
進行中!)で演奏された形が果たしてオリジナルのそれであったかどうかは
定かではないが、少なくとも僕らが音質最低のブートで聴き親しんできた
様々なメロディやリズム、擬音などはそのまま使われている。
つまり、組み合わせの変化はあったとしても、
ブライアンとヴァン・ダイク・パークスが作り出した全くもって斬新で
プログレッシブなサウンドはきちんと再現されているのだ。
そして驚かされるのは、21世紀の現在でも、
SMILEのサウンドが多種多様な音楽の中にあって、
孤高の先鋭性において他より圧倒的に抜きん出ているという点である!
まるで冷凍保存されていた前衛が今まさに蘇って輝き始めたかの
ように。。。。
このライブを聴いていて、そう思わずにはいられなかった。

もしも当時この作品が発表されていたら、
どういう風に位置付けされたのだろうか?
少なくとも「ペットサウンズ」との共通性はほとんど感じられない。
ノンジャンル、無国籍、前衛、フリーミュージック(ジャズ的な意味のフリーミュージックとはちょっと異なる)・・・・・。上手い呼び名が無い。
あえて言えば、「考え込んでしまうポップス」か?意味が分からんが。(笑)
あの時代にこういう音楽は無かったはずだ。
唯一、似ているのはフランク・ザッパ&ザ・マザーズかもしれない。(冗談ではなく、本気でそう思う)


それにしてもブライアンの作曲能力って物凄かったんだなぁ・・
だから、、、僕はこの曲たちを当時のブライアンの声で聴きたかった。
最近のブライアンの声がどうしても苦手な僕だが、
このライブを聴いてもその考えは変わらない。
あまりにも老いてしまったブライアンの声。
メンバーがかなりサポートしているが、それでも
“サーフス・アップ” “ウィンドチャイムス” “ワンダフル”といった曲では
ブライアンの音程のふらつきが非常に気になる。(僕だけ?)
多分、スタジオ録音では多少は解消されるだろうが、
でも、でも・・・・やっぱ・・あの頃のブライアンではないんだよな・・。
こういうネガティブな考えはいけないのだろうか?

ま、それはそれとして、「SMILE」が完成品として聴けて僕は幸せだ。
会場にいたポール・マッカートニーも作品の比類なき個性と
圧倒的な完成度に驚いたことだろう。
たぶん、ポールはブライアンに白旗を揚げたと、思う。


『SMILE』


1st MOVEMENT


1 PRAYER
2 HEROES & VILLAINS
3 DO YOU LIKE WORMS
4 BARNYARD
5 THE OLD MASTER PAINTER
6 YOU ARE MY SUNSHINE
7 CABINESSENCE
8 WONDERFUL 


2nd MOVEMENT


1 WONDERFUL
2 A CHILDREN’S SONG
3 CHILD IS THE FATHER OF THE MAN
4 SURF’S UP


3rd MOVEMENT


1 I’M IN GREAT SHAPE
2 I WANNA BE AROUND
3 VEGETABLES
4 HOLIDAY
5 WIND CHIMES
6 Mrs.O’LEARY’S COW
7 I LOVE TO SAY DA DA
8 PRAYER
9 GOOD VIBRATIONS




追加日記



堂本剛のソングライティング能力を少し過大評価しすぎたようだ。
“ORIGINAL COLOR”と“ココロノブラインド”級の名曲が
アルバム「si:」には収録されていないという事実。
メロディのカラーが同傾向になりがちであり、
聴いていると何だか同じ町内を堂々めぐりしているかのような
錯覚に陥る。何度も同じ景色に出会ってしまう。
ミスチルの桜井に心酔する堂本だが、師匠との差は歴然だ。
アルバムを一枚通して飽きさせることなく聴かせてしまうちからというのは、
やはり天与の才と年季が合体して初めて生まれてくるものなのだろう。
堂本はまだ始まったばかりだ。
僕は、ついそのことを忘れていた。
もうひとつ、過剰なアレンジには少々鼻白んだ。


・’゜☆。.:*:・’゜★゜

アテネオリンピック、シンクロ・デュエットの決勝を観た。
すごいけど、感動しないのがロシアのシンクロ・デュエット。
一方、個性的で面白さが尽きないのが日本。
完璧さではロシアがはるかに日本の上をいっているが、
さて、どうなんだろう?それってクラシックとポピュラーミュージックの
違いに似ている気がするが。
オリンピックは完璧さを競う戦いなのだからロシアの1位は
当然だが、観客は絶対に日本の演技に面白さを感じたと思う。
実は、音楽もそういう部分、つまり面白さを追求していく事で
新たな方向性が見出されるのではないだろうか。
楽譜を再現するだけの行為(もちろん指揮者や演奏家の意思は
反映されてはいるだろうが)に果たして未来の音楽を
生みだす可能性があるのか、、、疑問である。
僕がクラシックの熱烈なファンであることをやめた理由は
実はそんなところにあるのだ。


響 一朗

My追加