A Thousand Blessings
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2004年01月04日(日) |
2003年、僕を夢中にさせた10作品 |
風邪はさらに悪化。咳が止まらない。 インフルエンザの予防接種は効いているようだが、 つまらない単純な風邪をひくとは・・。
っていうことで、様々な音楽に親しんできた僕が 48歳という年齢になって「出会えた」素晴らしい作品たちを10枚ご紹介したい。 特に新譜に限定せず、2003年に僕の心に入り込んできた多くの作品の中から 厳選してみた。
☆ ミスター・チルドレン 「くるみ」
2003年は、桜井和寿という傑出したソングライター率いるミスターチルドレンに (ようやく)出会えた事に感謝する年だった。 私生活における不思議なめぐり合わせがあって出会えただけに、 感慨もひとしおだ。 はっきり言えば、今の僕はミスチルさえあれば生きていける。 マイルスもウェイン・ショーターもボブ・ディランも フランク・ザッパもデレク・ベイリーも必要としない。 「くるみ」・・・・。ああ・・「くるみ」の日々を送っている。 夜の国道を走る車の中で、「くるみ」を大音量でかけながら、 友人と二人で唄った瞬間の胸の奥からこみ上げてくる様々な感情。 30年前、吉田拓郎の「どうしてこんなに悲しいんだろう」を親友と 自転車を走らせながら大声で歌った時と時間の隔たりこそあれ、 その意味合いは極めて似ているように思う。 それは「哀しみ」っていうことなんだなぁ・・。
☆ ミスター・チルドレン 「深海」
今から7年前に発表されたアルバムが、やっと僕の元に届いた。 このように、世の中には不幸にしてなかなか「出会えない」アルバムや楽曲が いくつもあるのだろう。 しかし、神様は最高の一枚を残しておいてくれたわけだ。 「深海」をはじめとして、一連のミスチルのアルバムはほとんど聴いたが、 やはり「深海」は特別の輝きと深みを持っていると思うな。 泣ける、乗れる、開放される、癒される、笑える、そしてただただ感動する、 など聴き手には色々な表現の仕方があると思うが、 僕の「深海」に対する表現はただひとつ。
『共感』である。
『共感』こそが2003年から2004年へと受け継がれる僕のキーワードだ。 「深海」を日本の「アビーロード」と言い切ってもかまわないと、思う。
☆ ミスター・チルドレン 「wonederful world on DEC21」(DVD)
一日だけ行なわれた、桜井和寿復帰後初のミスチルコンサートのライブDVD。 CDでは、桜井の果たす役割の大きさがどうしてもクローズアップされがちだが、 こうして実際の演奏を目にすると、このグループの演奏者としての完成度の高さ、 メンバー個人個人の果たす役割の大きさに気付かされる。 この4人でなければ、この音楽は完成できないんだろうな、と思わせる箇所が そこらじゅうに見られる。 先日の小田和正のクリスマススペシャル番組に桜井がゲスト出演し、 「タガタメ」と「ヒーロー」を歌っていたが、感動の域には達しなかった。 理由はいくつかあるが、そのひとつに、やはりバックに いつものメンバーがいない事の違和感があげられる。 あのギターが、あのベースが、そしてあのドラムスがあって初めて 桜井が描く世界が完成する事を、確認できた。 そういう意味では有意義だったが・・。他にもあの番組に関しては書きたいことがあるが、それはまた今度。 DVDでは、“蘇生”“君が好き”“ファスナー”“終わりなき旅”“alive” この5曲が特に素晴らしい。
☆ ソニン 「合コン後のファミレスにて」
傑作アルバム「華」を挙げても良かったのだが、インパクトの強さでこれを選んだ。 裏・松浦亜弥とでも言うべき個性。個人的には藤圭子とイメージがダブる (本当か?) つんく♂の本業はモー娘。に違いないだろう。 しかし、彼の才能(音楽的かつ商業的)はそこに留まらず、 松浦亜弥という20年に1人とでもいうべき個性を開花させた。 さらに彼は、EE・ジャンプを志半ばで解散させられ、 路頭に迷っていた(のか?知らんけど)ソニンを見事に (と思ってる人間が日本に何人いるのだろうか?)芸能軌道に再び乗せた。 これこそがつんく♂2003年の最大の功績だろう。 (って、みんな思ってないでしょ?) さてソニンの音楽について全く触れてませんが、そもそも触れる気はありません。 僕だけが密かに楽しむんだもんね。
☆ 松浦亜弥 「コンサートツアー2003春 松リングPINK」(DVD)
最新作「×3」が急速にキテいる僕だが、 やはり2003年の彼女の最大の成果は、 春から夏にかけて行なわれたコンサートツアーのライブに見られる。 間違いない。 いわゆる典型的なアイドル歌手のライブ映像としては、 80年代の松田聖子全盛期以来の完成度の高さだろう。 あややを盲目的に愛してしまった僕なので、話半分で聞いてもらってもかまわない。 中年の恋という言葉(あるのか?それ)が頭をよぎる。 優れた楽曲とそれによって構成されるコンサートの一点のミスもない完璧さ。 アイドルを演じる(演じさせられる)のではなく、 「アイドルは松浦なのだ!」という彼女の自信に溢れた表情。 8ヵ月前のライブ映像と比べると、格段に彼女は成長している。 そしてその成長は止まる気配すらない。 つんく♂がいい曲を書きつづける限り、あややは進化していくと思う。 怖いのは、つんく♂の才能が枯れた時。 小室哲哉と共倒れしていった連中を思い出して、 ちょこっとゾっとしたりして。オジサンは。
☆ ゆらゆら帝国 「しびれ」と「めまい」
新作ライブ「なましびれ、なまめまい」でゆらゆら帝国は ぶっ飛んでいっちっまいやした。 しかし、これほどライブとスタジオ録音を絶妙に使い分けているとはねー。 なんせ、こちとらライブっていうもんが苦手でとんと行かないもんで、 わかりゃしません。 さてさて、坂本慎太郎くんよ、あなたは一体何なの?どこから来たの? そしてどこまで行っちゃうの? 僕は素直にあなたに敬意を表したいね。 あなたは今、日本で一番レッドゾーンに近い位置で活躍するバンドのリーダーだよ。 僕は、あなたが書いた曲にほっぺたを叩かれてイってしまう猪木状態に 陥っている。 どうか、いつまでもいい曲を書きつづけ、 メンバーとも仲良く末永く活躍して欲しい。 ゆらゆら帝国とミスチルがいれば日本のロックはもういいんじゃないの?
☆ セシル・テイラー「ライブ・イン・ブラック・フォレスト」
個人的には「テイラーってこんなに・・・!」的なショックを受けたアルバム。 ここで繰り広げられるインプロヴィゼーションの面白さは、 他のいかなるジャンルの音楽にも絶対にないものだと思う。 ドラマーが、あまりにもいい。どこでどんな演奏をしていたかは、 聴いてみないと分からないもんだ。ほんと。 こういうのに出会えちゃうから、JAZZから脱出できないんだよなー。
☆ 中島美嘉「雪の華」
“WILL”ですでに来てはいたが、 この曲は決定打となった。 彼女の声の魅力が余すところ無く表現されていると思う。 もちろん僕もみんなと同じように、あの裏声になる部分でイってしまう。 メロディーもアレンジも素晴らしい。 何度も聴いた。ルックス的にも急激に色気が出てきた。20歳?21歳?(!) 惜しいのは詞だね。 もう少し推敲(すいこう)すべきだった。 表現に説明的な部分があったり(廻りくどく感じられる)、 使い古された慣用句や情感に欠ける語句の使用がいくつか見られる。 たとえば、この恋人同士の情景を若き日の荒井由実だったら どう描くかな?なんて考えてみたりする。
☆ ハイ・ラマズ「ビート・メイズ・コーン」
ハイ・ラマズを聴くと、すぐにブライアン・ウィルソンが聴きたくなり、 ヴァン・ダイク・パークスが聴きたくなったりした。 それが今までのパターン。 しかし、今回の(いや前回でも兆候はあったかな)アルバムでは、 もうハイ・ラマズでしか表現できない緻密で引きこもった、 しかしそこには楽園があると予感させる音楽が作り出されているのです。 これはもう抗ってはいけない世界だと。 ルーファス・ウェインライト(この人は後日紹介します)と ハイ・ラマズから目が離せなくなった。
☆ 小沢健二 「天使たちのシーン」(1993年発表のアルバム 『犬は吠えるがキャラバンは進む』 に収録されています)
実は2003年の僕の意識変革の機動力となったのがこの作品。 10年前に発表され名曲としてファンの間では特に愛されている。 (ということを今年初めて知った) 日本語の「詞」の奥深さを久々に堪能できた喜びに浸っている間もなく、 ミスチルの洗礼をうけてしまうのだが。 小沢健二は当然知っていた。フリッパーズも聴いていた。 ただ、僕は小山田派だったわけね。 小沢の果たす役割に対しては過小評価をしていたと思う。 誤解を招くかもしれないが、フリッパーズの左脳(論理)にあたるのが小山田で、 右脳(感情)にあたるのが小沢ではないかと・・・最近思っている。 右左逆でしたっけ? それほど「天使たちのシーン」の詞は、心のミットに直球でしかもストライクで ズバーンと来る。
『毎日のささやかな思いを重ね 本当の言葉をつむいでいる僕は 生命の熱をまっすぐに放つように 雪を払いはねあげる枝を見る』
その通り、あなたの言葉は「本当の言葉」だと思いますよ。 偽物の言葉の横行にうんざりし座り込んでいる僕は、 再びあなたの言葉で動き出す事が出来ます。
ということで、毎年個人的に選ぶベスト10は、 そのほとんどがJAZZかソウル、ロックだったが、 2003年は、日本の音楽をとにかく聴いた。 そしてその傾向は今年さらに強まっていく予感がする。 今から、ミスチルの新譜の発売が楽しみでならない。 それまでは、生きていなければ。・・・・ゴホン・・ゴホン・・・。。
響 一朗
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