Rollin' Age

2004年03月13日(土)
 卒業旅行とは名ばかりの。

 三月と言えば卒業シーズンなわけで、そしてこの春卒業を迎える者どもは、卒業旅行に出かけちゃったりするに違いない。私の周りでは、流氷を見に北海道へ行くだとか、東南アジアでバガボンドになるだとか、北欧でオーロラを見るだとか、それはそれはもうロマンチックなわけで、いきおいこちらも負けじと、どっか行って思い出作りでもしなければと考え出す。

 海外は別に行きたいわけでもないし、てーか面倒くさいし、国内でどっか行こうかーと思案してみると、大阪と福岡に友人が数人居ることを思い出す。久しく会っていない。んじゃぁ、西日本一人旅でもするかー、各地で懐かしい友人らに会って積もる話でもしつつ、色々行ったことの無い場所など訪れてみよう、大阪と福岡は決まりとして、鳥取砂丘や出雲大社とか日本海側を回って帰ってこよう。青春18切符で、ちんたら五日間くらいかけてさぁ・・・などと計画を立てていたのが一ヶ月前のこと。

 計画なんてものは、破られるためにある。まず、大阪行きは取りやめになった。というのは、四月からそこで働くことが決まったから。これから住む場所なのに、旅行も糞も無い。次に、スケジュールが都合つかなくなった。三月上旬から中旬にかけて五日間は日取りを空けていたはずなのに、色々な予定が詰まってゆき、けっきょく二日間しか身動き取れなくなってしまった。

 学生は学生なりに忙しいと思う。何の拍子だったか「最近忙しくて」と言ってみたところ、社会人の友人からかなり怒られた。「学生の言う”忙しい”なんて、たかが知れてるだろ」、と。そう、仕事に多くの時間を拘束される社会人からすれば、学生は暇そのものだと言えるに違いない。それは分かっちゃいるけれど、働いてなんていやしないけれど、それでも忙しいもんは忙しいんである。

 新宿で飲んで吉祥寺で飲んで新宿で飲んで新宿で飲んで新宿で飲んで・・・、今月これまでに何回終電で帰ったことだろう。あとは部活の合宿だとか、卒業式だとか、引越しだとか、色々あって首が回らない。まぁ、それでも社会人の方が忙しいに決まっているのだけど、かつて学生でもあった貴方達は、「忙しい」などと言う私のような学生を、笑って見てればいいのだと思う。「今に分かるよ」と。少なくとも私は、まだ社会人の生活というものを経験していない。だから、比べようも無いさ。

 何の話だったか。そう、スケジュールが詰まってしまい、二日間だけしか予定が空かなかったのだった。それでも、福岡にいる友人たちに「今度遊びに行くよー」などと伝えておいていたため、行ってきた、福岡。一泊二日で。東京⇔福岡を片道五時間かけて。のぞみ自由席複学割で。39000円した。「同じ値段で海外とか行けるんじゃないの?」とか言うな。
 
 現地では、懐かしい友人たちと積もる話をしつつ、素敵な居酒屋を紹介してもらったり、刺身をご馳走になったり、豚骨ラーメンを食べたり、寿司を味わったりした。あいらぶ博多。まいうー福岡。「食ってばかりかよ」とか言うな。一泊二日という時間の中で、およそ12時間を移動時間に取られているのだ。物を食う以外には、福岡城跡とか、福岡タワーとか、博物館とか行ってみたり、親富幸通りを歩いてみたりしたけれど、そんなもんだ。

 行きの新幹線の中では、隣に居たサラリーマンがノートパソコンを開きながら会議の資料を作っていた。帰りの新幹線の中では、隣に居たサラリーマンが、「OJT成功の方法」などといったビジネスマニュアル本を読んでいた。これはもう、卒業旅行などではなく、出張みたいなもんだと思いながら、私は疲れて眠っていた。


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