久しぶりに丸々一日お休みの土曜日だったので 「2046」をもう一度観に行ってきました。 一度観た時に良くわからなかったこともあったのですが いろいろ整理しながら観ることができ満足です。
「近未来物じゃなかったの?」って思う人も居るかもしれませんね。 でもそれは予告やスポットの作り方に問題があるのだと思います。
単独で観ると確かになんのことやらわからないことだらけです。 「花様年華」との関係性はよく言われていますが それとともに「欲望の翼」ともかなりリンクしています。 「欲望の翼」「花様年華」「2046」の3部作みたいな感じですね。
「欲望の翼」でヨディ(レスリー・チャン)の恋人だった スー・リーチェン(マギー・チャン)は「花様年華」で チャウ(トニー・レオン)が恋焦がれる人妻だし。 ヨディのもう一人の恋人ミミ(カリーナ・ラウ)は「2046」では ルルと名乗ってるけどまだヨディのことを忘れられずにいる。
時間軸的には「花様年華」「欲望の翼」「2046」 という流れだと思います。 「欲望の翼」ではトニーは本当に少しだけ賭博のシーンで出てきます。 「2046」でもう一人のスー・リーチェン(コン・リー)に 勝負に勝たせて貰う設定になってますね。
「花様年華」で報われない恋に身を焦がしたトニーが シンガポールへ行く。 「欲望の翼」はトニーの物語ではないけど時間的には トニーがシンガポールにいた時のレスリーのお話です。
「花様年華」でプラトニックな愛に殉じていたトニーが 「2046」では目を覆いたくなるような女たらしっぷり。 気のない女を口説いては物にするくせに女の本気は牽制する。 それは「欲望の翼」でレスリーが演じていたヨディそのものです。 そこに監督の意図があるのか出来たものがそうだったのかは わかりませんが監督がレスリーの死を悼んでいるような 気がしてしかたありませんでした。 それくらい「2046」のトニーは「欲望の翼」のレスリー とそっくりな行動をしています。
クリストファー・ドイルのカメラワークはため息が出るほど綺麗。 トニーが髪を撫で付ける後姿やタクシーに乗るシーンは 各映画に絶妙にリンクされていてとても印象的です。
残念だったのは現実でも小説の中でも叶わない恋をしている チャン・チェンの出演シーンが少なかったこと。 静かに涙を流す横顔が凄く綺麗でした。
チャウの書く小説「2046」はきっと売れないと思う。 だって詰まらない。 現実の色恋沙汰の方がよっぽどスリリングなんですから。
今回もう一度観てやっぱり小説部分の映像版はいらないと思いました。 後は声ですね。 セリフ部分ではなくてナレーション部分の 声が何だかとっても気になりました。 監督の指示なのかもしれませんが力が入りすぎな気がして・・・ 私がそう思っただけかも知れないのですが。
ワンシーンしか出てこなかったけどマギー・チャンは とても存在感がありました。 トニーがどんなに様々な女たちと一夜の快楽を享受しても 忘れられないただ一人の女性の影を追ってしまう。 そんなタクシーのシーンが一番心に残ってます。
もう一度観に行きたいけどそれは無理かな。 DVDが出たら買おうと思ってます。 ちょっと暇になったら「欲望の翼」と「花様年華」を もう一度観かえしてみるつもりです。 また違った見方が出来そうな気がします。
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