あたしと彼のこと
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衝撃を受けてから、はじめて彼に会う。
「おはよ」「おはよう、さぁ行くぞ!」「うん楽しみだね」
彼がいつもの通りなので、つられてしまったのか 笑顔は自然にできた。
早朝に出たので渋滞は避けられた。
それでも人混みのはすごくて、はぐれないように手をつないだ。
席に座って、ギョーザと、うな丼と、天むすをふたりで半分こした。
レースはとても面白かった。 トヨタ参戦と、琢磨選手のおかげか会場はとても盛り上がっていた。 ここ何年か観ているレースでも見ごたえのある内容だったと思う。
でも、目の前のF1独特の甲高いエンジン音やレース展開にどこか 現実味がなかった。ほんとうに起こっている事のように思えない。
渋滞のなか、彼の家までようやく帰った。
もう、玄関の奥に入ってはいけないような気がして、部屋にあがらず そのまま帰った。
すべてが、あっという間。
さみしいという感情はずっと封印されていた。 そんな気持ちを封印したままの笑顔って、どんなだったのだろう。
最後、、、ほんとうに最後なのかなぁ? 分からない、全然そんなふうに思えない。
でも今日、ほんの数時間前に、わたしは観戦しながら 「すごい盛り上がりだねー、来年はあの辺の席なんて良さそー」 なんて、つい彼に言ってしまった。
来年なんて、きっとないのに。
そんなことを、すっかり家に帰った今になって、悔やむ。
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