あたしと彼のこと
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2002年10月13日(日) 最後のデート

衝撃を受けてから、はじめて彼に会う。

「おはよ」「おはよう、さぁ行くぞ!」「うん楽しみだね」

彼がいつもの通りなので、つられてしまったのか
笑顔は自然にできた。


早朝に出たので渋滞は避けられた。

それでも人混みのはすごくて、はぐれないように手をつないだ。

席に座って、ギョーザと、うな丼と、天むすをふたりで半分こした。

レースはとても面白かった。
トヨタ参戦と、琢磨選手のおかげか会場はとても盛り上がっていた。
ここ何年か観ているレースでも見ごたえのある内容だったと思う。

でも、目の前のF1独特の甲高いエンジン音やレース展開にどこか
現実味がなかった。ほんとうに起こっている事のように思えない。

渋滞のなか、彼の家までようやく帰った。

もう、玄関の奥に入ってはいけないような気がして、部屋にあがらず
そのまま帰った。


すべてが、あっという間。

さみしいという感情はずっと封印されていた。
そんな気持ちを封印したままの笑顔って、どんなだったのだろう。

最後、、、ほんとうに最後なのかなぁ?
分からない、全然そんなふうに思えない。

でも今日、ほんの数時間前に、わたしは観戦しながら
「すごい盛り上がりだねー、来年はあの辺の席なんて良さそー」
なんて、つい彼に言ってしまった。

来年なんて、きっとないのに。

そんなことを、すっかり家に帰った今になって、悔やむ。


桑田そら |MAILHomePageBBS

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