あたしと彼のこと
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2002年02月25日(月) 弱気

なにさ、やっぱり仕事、また忙しくなってきたじゃん。
こんな状態でほんとに部署無くしていいのかしら、とか思っていたら上司
に思ってもいないことを指示された。

「キミのやってきた仕事、○○さんに引き継ぎをするように」

・・・はぁ?(しばし呆然)

事業から手をひくから部署消失するんじゃなかったのか・・・
は、でも、私の仕事を1ヵ月やそこらで引き継ぎできる人なんて社内に居
ないぞ。やろうとしたら、数あるソフトの習得から教えなきゃならん。
専門知識を要するのにそこから教えろというのかしら。なによそれ。

しかし案の定、なんにも知らない人が引き継ぎすることになった。
引き継ぎを兼ねた新規物件のミーティングをしたのだが、気が滅入った。
とにかく横暴ぶりが聞いて呆れる。そして空しくなってしまった。
社内でその点に関して唯一の技術を持っている私なのに、簡単に人を入れ
替えても出来るだろうと言うこの扱い。私の技術はさして重要視されてな
かったのか。悔しい。そして腹立たしい。

会社から帰って、空しさで一杯になってしまって、いつの間にか彼の家に
脚を運んでいた。

家に着いたものの、突然押しかけてしまって、どんな顔をされるだろう。
ドアの前で、携帯と玄関のベルを交互に見つめながら立ち往生していると
ひとりでに玄関が開いた。彼だった。

「そらがくる音がしたよ」と言ってきた(車の音がしたらしい)
泣いてしまった。うれしくて涙がぽろぽろ出た。

びっくりした彼は「どうしたの、ほらほら、入って」と玄関に迎えいれて
くれた。背中をすこし押されながら私は入っていった。

ひととおり話すと彼はこう言ってくれた。
「そらが悲しむ必要はない。技術やノウハウを簡単に引き継げると思って
いる人達なんだよ?そんな人達が誰かの能力を正しく見極められるはずが
ない。引き継ぎにしてもうまく行かないのは目に見えている。いずれ会社
が困る時が来る、そしたらその時に澄ました顔で『ほら見たことか』って
思ってればいいんだよ。」

ついつい弱気になってしまっていた私が、彼の言葉で強気を取り戻した。
確かにそうだ。誰かにそう言われると納得できる。
彼にそう言って貰いたかったのだ。そうか、だからここに来たんだ私は。

気付いてくれた彼、ありがとう。


桑田そら |MAILHomePageBBS

読んでくれてありがとう。

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