あたしと彼のこと
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一昨日の件から数日、言葉だけのやりとりのあと会えずに居るのが、たま らなく不安で仕方がなくなってしまった。きっと、昨日夢とはいえ叶うの も果てなく遠い願いなんて、してしまったからかもしれない。
彼に会いたい。ひたすら会いたい。
「急だけど、夜、遊びにいっていい?」と、不安なそぶりを見せず、普段 通りにメールして彼の家へ行ったのは夜の10時。 良いよ、と返事をもらって行った彼の家の玄関は、いつも通り鍵を開けて くれていた。なかに入り鍵を閉めて、お出迎えのない玄関で靴を脱いで上 がる。そしていつも通りこたつでTVをみている彼がいる。 でも、いつもの通りにはいかない私は、それを見て少しだけホッとした。
ほんのちょっとだけ安心してしまったら、急にいとしくなって、彼の横に 座ってせかすように抱きしめて唇を重ねてみたりした。
彼は、どうしたの?って笑ってくれた。笑われてしまったので私も一緒に 笑った。そして次は悪戯するようにお腹をくすぐってみた。そしたらくす ぐり返された。いつの間にか「睦まじい恋人同士」のフリになって、私達 はそのフリに溶け込んでいった。
彼の肩を抱いて。その心地よさをさぐり、じんわりと私の奥の方までしみ 込ませて、目を閉じてゆっくりと広がらせる。 そうやって徐々に身をゆだねて二人して同じところのものに集中していく。 もう幾度となく重ねあった変わらない事のひとつだけど、それがいとしい。 いとしくて何度も重ねあう。
大丈夫だよね、あんな事でつきあいかたが変わる私達じゃないよね、それ を確かめるように彼の名を呼んで強く抱きしめるのだけれど。でも呼んだ ところで彼はわたしの名を呼び返してはくれない。
そんな気持ちのまま、二人して落ちていく。
離れた心を繋ぎとめる為に体を寄せるのってこんな気持ちなのかなぁ わたしは自分の気持ちを埋めるために、ここに来てしまったのかなぁ 何だか急に不安になったんだよ…彼の寝顔につぶやくように言ってみる
少し後悔。
このままでは…こんな気持ちのままでは、どんなにカラダを寄せあっても 昇りつめても、繋がっているのはカラダだけなのだというのが浮き彫られ るだけだ。
こころで繋がりたい・・・彼と本質的に繋がりたい・・・ 彼に恋人って呼ばれたい・・・でも今それは叶わない・・・
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