物語は、染み込んでいく

 良い本を読んだり、良い音楽を聴いたり、良い映画を見たり、良いゲームをやったり。
 前にも書いたとおり、感情移入の度合いが半端じゃない。
 それ度合いは、その対象となった作品の出来が良ければ良いほどに、強くなる。

 そして、作品が終わったときに、作品の持っていたチカラが染み込んだのが、分かる。
 これは、理屈じゃない。
 それは、終わった後に残る気怠さ、高揚感、澄み渡っている思考、それが証明している。
 物語に没頭していくことで、得られる経験もある。
 それは、物語であるからこそ、得られるものでもある。
 だから、好きな作品の傾向が幻想ものになるのかもしれない。
 リアルなものは、リアルで体感できる、そう分かっているから。

 そうして積み重ねた経験は、絶対に自分の糧になっていると断言できる。
 すべてが虚構だとしても、嘘っぱちだとしても、その世界の中では真実だから。
 何かの役に立つ、なんてケチくさいことを考えてちゃあ、この愉悦は理解できないだろう。
 すべてが無意味で、実生活にはこれっぽっちも役には立たない。
 それだからこそ、価値のある物事が、本当に「価値がある」ものだと思う。
 役に立つものが悪いってわけじゃない。
 役に立つものが良いってことは当たり前。
 役に立たないのに、役に立つものと等価交換が成り立つ。
 これは、すごいことだから、つまりは、その物事に「価値がある」。

 ただの独りよがりかもしれないけど、しょせん価値観はその人にしか通用しない。
 そうであるなら、その価値観を鋭く冴え渡らせていきたいと思う。
2005年02月13日(日)

日々 / いけだ