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 一瞬の夏

いよいよ勝負の県大会。
「君たちにとって忘れられない一日になるはず」と
生徒に話をするが,それは同時に
自分にとっても4月からの錬磨の日々が試される一日。

県武道館へ。
検量や練習など,昨年度から出ているチームだけあって
細かい指示を出さなくても,手際がいい。
思い切りのいい練習。
最後に何をすべきなのか,
細かいところで思いがずれるが,そのままに。
最初の試合は,3月の県大会でも苦杯を嘗めたチーム。
先鋒から動きが重い。
というよりも,慎重な試合運びでポイントを取れないまま。
中堅が勝負に出てポイントを取られ,
副将は旗一本の技がいくつか並ぶが,ポイントにならないまま。
大将戦でもそのまま逃げ切られる。
思いがけない敗戦にチームは混乱。

男子も,初戦は1−1で本数負けしている状態の大将戦から
勝負に行かずにタイムアップ。
大事なところで,懸待一致とはなかなかいかない。
先手で攻めるチームが活路を開く。
前回の大会での優勝が,
チームも自分をも縛っていることに改めて気づく。

気持ちを切り換えて,男子はメンバーを交代。
2年生を3人に。
最後の大会でこれがいいことなのかどうかは難しい判断。
男子は,苦しいところで2年生が活躍して大将につなぎ,
今度はきちんと決めてまず一勝。
女子も次は3−1で勝利。少しは堅さがとれる。
ここからは勝者数,本数の勝負になる。

女子は勝負の3試合目。
相手の術にはまって先鋒はポイントを取れず。
研究されているという言い方もできるが,
逆に研究してこなかったことが裏目に。
次鋒が気迫の相面で一本勝ちするも,
一年生の中堅は焦ってポイントを奪われる。
「2人差なら一位通過できる」という指示が,仇となる。
副将は切り札同士。
面を警戒させての小手で先取されたのも,相手の作戦勝ち。
大将は逃げる相手を気迫で2本勝ちするもチームは引き分け。
このチームで予選リーグ敗退とは。場内もどよめく。
それも想定したこととはいえ,
あまりのショックに掛ける言葉が見つからない。

男子チームのベンチへ。
思い切りのいい試合をすること。
大将につなぐことの2つを確認。
若いチームは勢いがある。
それぞれが爆発して,3−1で勝利。
予選リーグ2位で決勝トーナメントへ。
決勝トーナメントは県の新人戦で準優勝のチーム。
相手にとって不足はない。
これが最後と思い,一人一人に声を掛ける。
思い切りのいい試合で立ち向かう生徒。
負けはするが,気持ちのいい終わり方。

自分が育ててきたものは何だったのか。
未熟な自分を深く反省。
学校へ戻って,まずは大会に出場しなかった3年生,
次に男子チーム,女子チーム。
それぞれが思いを込めて話をする。

最後に自分。
勝つことよりも大事なことがあったはずなのに,
勝つことにこだわった自分が,
生徒から思い切りを奪い,
なんとも不甲斐ない終わり方につながったことを詫びる。
「剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である」
という「剣道の理念」を掲げるチームでありながら,
それを貫いていなかったことが,何とも悔しい。
これだけのチームに出会えることは,そうあることではない。
わずか4ヶ月の間だが,
自分の精一杯を尽くした日々を送ってきたつもりでいた。
でも最後の詰めが甘かった。
勝負は一瞬。
だからこそ「負けてもいいから思いきり行け」と
最初から送り出すべきだったのだ。
誰よりも自分が攻めていなかった。

脱力感を感じながらも,保護者からはねぎらいの言葉。
3年生と一人一人と握手をして,帰宅。
明日からは日数教東京大会。
勢いを獲て発表するつもりだったのだが・・・。




2005年07月30日(土) 本気で取り組むこと
2004年07月30日(金) 新チームのスタート


2006年07月30日(日)
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