オンライン小説検索エンジンにおける某完結長編自作品への紹介文句が、自他共に、変。と認められて久しい感じのえあさんです。こんにちは。 という事で今更ですが、魅力ある紹介文を書くために、実例を用いながら考察していきたいと思います。
1.何が悪いのか?〜今迄の紹介文
大陸全土を混乱の渦中に落としたアウザール帝国を打倒すべく、亡国レムルスの王子率いる大陸解放軍が立ち上がった。女神の大陸ミナーヴァの戦乱の歴史に幕を引く聖戦が今始まる――。衝突する剣と魔法、交錯する過去、友情と愛情。シリアスで重厚なストーリーを軽いノリで描く、ライトノベル風味の長編戦記ファンタジー。
とりあえず漠然と全体像を見せてみる感じの紹介文。これは楽園に登録した文言だが、他の検索サイトも概ねこのような内容で綴ってある。検索HIT率を上げるため、よさげキーワードをコセコセ詰めこむ涙ぐましい努力の跡が伺える。 キーワード欄という別枠が大抵のサイトにはあるものなのだが、そこにキーワードを入れるのは私はあまり好きではない。それならば本文になんとかして組み込んでみたいと考えるのだ。 検索エンジンを見ているとキーワードと紹介文本文や稀にタイトルまでもがかぶっている作品があったりするのだが、それは実は大抵のシステムでは意味がないことだったりするのである。どうせ一括で検索てしまうのだから。 話を戻してこの紹介文は、文章としてはまあまあまとまってると思うのだが、オンライン小説界にありがちな設定すぎ。とか、おとなしすぎる。とか、詐欺チック。とか、ていうか主人公……(以下略)。とか、様々な問題点がある。 これはすなわち、言ってしまえばそう、インパクトがないということなのである。主人公はさて置いて。 インパクトを出すにはどのようにしたら良いのか。 よく使われるのが、次の手段である。
2.印象的な台詞を文頭に挙げてみる。
僕の、何よりも大切な姫君が護れれば、他には何もいらない―― 帝国の軍勢は街を焼き、最早城内に侵入している。負傷した僅かばかりの兵と共に身を潜めていた幼き国王は、部屋に灯りをともして最終決戦の号令をかけた。 傍に立つ少女の肩を、最後に一度、抱きしめて。 ――後に、聖王国の決戦と呼ばれた夜から、六年。戦いは、未だ続いている。 剣と魔法の長編戦記ファンタジー。
何か、その作品を象徴する、これは! という台詞を文頭に挙げてみるというのはいい手段である。Crusadeにはいい台詞というのがあまり多くはないので、どれを採用するか決定するのだけでかなりの時間を要したが、序章から抜き出したこの一文を使ってみる事にした。印象を更に際立たせるため、作品の概要を説明するのは諦めて、この台詞が発せられた状況について出来うる限り具体的に伝えられるように配慮し、最後に導入として思わせぶりな一文を付加する。 詐欺チックとかその辺りの問題点が全く解消されていないのは目をつむって欲しい所である。 抱きしめて、の所で少々意識を置いたことであるが、恋愛要素を香らせる事は、客層にもよるが集客の重要ポイントとなる場合も多々あり、侮れない。 もっともこの紹介文の時点でのこの少年少女は12歳10歳で恋愛もクソもないのだが。 とりあえず、本作品の主題の一つである恋愛要素をメインに書き上げてみる実験も行う。
3.当作品には恋愛要素が含まれています
大陸解放軍軍師にして魔術士の青年と、同軍一兵卒の少女の恋愛ファンタジー。 戦火の渦巻く大陸で、今日も彼は剣を取る。デバガメ・嫌がらせ・横恋慕の苦難を乗り越えて、平和な世界と愛を手に入れようと奮闘する青年のドラマ。
上の二例が少々固いイメージだったので、恋愛という言葉の持つ華やかさと同時に軽さを心がける。ある意味一番的を射ている感じがする。 が、激しく読みたくねえ。 これは個人的趣向にもよるだろうが、私は少し重めの紹介文が好きなのである。ノリはこちらの方が合っていようとも。 ていうか1、2章の序盤だと、この紹介文も合っているとも言い難い。 しかしとりあえず固い事は抜きにして、このイメージでもう一歩前に進んでみる。
4.当作品には欲望という言葉が似合います
白濁した欲望に囚われるお年頃童貞青年と破滅的なまでに奔放なくせに恋愛観だけはキャベツ畑な少女とのえせ恋愛えせ異世界ファンタジー。 まだ見ぬ真夏の夜の夢を夢見る青年の元に最終話までに夏は来るのか。
……ご愁傷様。
総論。 紹介文というものは大変難しい。
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本日の一絵
たまにはデッサンなどを。……デッサン?
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