GARTERGUNS’雑記帳

TALK-G【MAILHOME

聖騎士の約束って結局どういう約束なのか
2005年01月27日(木)

久しぶりに「聖騎士の約束」の話をしようと思います。
先に書いておきますが、私はアデューの事が嫌いなわけではありません。好きです。
只、「聖騎士の約束」において彼の存在は(極めて個人的な見解ですが)、良くも悪くも「ガルデンに対する支配力」が強すぎる、と思っています。


……昨日HGJのモニカの事を書いていて再認識したのですが、私はどうも「相手の『自分は人間じゃないから』とか『罪人だから』みたいなコンプレックスに気兼ねしないで、どーんと言いたい事を言ってしまう押しの強い女子ッコ」に滅法弱いようです。
パティとかね!!
パティ可愛いよパティ。私は彼女の「ガルデンは約束を守ってるのにアデュー様は約束を守ってない、そんなのガルデンが可哀相」という感じの台詞でいっぺんにファンになってしまったのですが。
それというのも彼女は元々、「アデュー様みたいな強い騎士になるのが夢」という女の子で、自分のご先祖様でもある「アデュー」という存在をとっても愛し、尊敬していたのですね。で、そんな「アデュー」と面識があるという人物「ガルデン」に興味を抱き、色々尋ねる内に、「ガルデンが世界中を旅し、時にパフリシアを訪れ王子王女の「儀式」に立ち会うのは、それがアデューと交わした約束だから」という事を知るわけです。
で、こっからが凄いのですが、その「約束」にガルデンとアデューの間で「交換条件」(語弊があるか?まあ良いや)がついていた事を知ったパティは、

「でも、アデュー様の約束は守られてないじゃない!
 そんなの、ガルデンが可哀相……」

アデューって凄い、アデューって素敵、アデューには抗い難い魅力がある、とリューナイトにおける登場人物(敵除く)の殆どがアデュー信者であるというのに、この子はこの一言のもとに「アデュー様」そして「聖騎士の約束」を斬って捨てます。
バッサリと。ええもうバッサリと。

しかも彼女にとってアデューは、英雄で、憧れる騎士の鑑で、しかも自分のご先祖様という普通ならどうしたって庇いたくなる要素を兼ね備えた人物(偶像)ですよ。
それなのにそんなアデューとその約束を彼女はバッサリと。ええもうバッサリと。

個人的に、このシーンでパティに惚れると同時に、「パティならこの『とても悲しい目をしている(アレク談)』ガルデンを幸せに出来る!!」と思ったのでありました。

だって、ヒッテルやカッツェら「アデューを知る『聖騎士の約束』登場キャラ」では、アデューとの約束に縛られた為にずっと同じ場所で足踏みし続けているガルデンを、無理にでも前に押し出してやる、なんて事出来ないと思うのですよ。
アデューの魅力も、ガルデンがアデューに惹かれている理由も十分なほどよく判っているから。
でもパティは違う。パティは「ちょっと美化しすぎている(byハグハグ)」「伝説の」アデュー様しか知らない。しかも彼女は、憧れているその「アデュー様」が「約束を守っていない」という嫌な現実(後に約束が守られていた事が判りますが…このセリフの時点では、という事で)からも目を逸らさないで、躊躇無くズバリと指摘してしまう。
その「約束」に縋って生きている男(ガルデン)にも遠慮せず。

現実的と言うか、残酷と言うか……とにかく切れ味満点なこんなセリフを、思い入れたっぷりに回想シーンまで使って、カッツェすら知らぬ「約束」の内容を明かしたガルデンのその言葉の終わった直後に言い放ってしまう、そんな所に、「アデューの子孫らしさ」(皮肉にも。44話のサルトビらとアデューの遣り取り参照)と、「リューナイトにおける新しい世代の風」を感じたのでした。
アデューを知らない子供たち。これを(ガルデンにとっての)新しい世代と言わずして何と言うか。
補足しますが、「アデュー」=「古い、悪い」という意味では決してありません。(グレートオールドワン、古きよきもの、よき時代の象徴ではあるかも知れない)
ただ、あんまりにもアデューアデュー言っているガルデンには、こういう風も必要なんじゃないかなあと。
そうでなきゃ、いつまでも彼の精神は100年前で停まったままですよ。
それはそれで良いかも知れませんが、他にも「アデューの居ない世界」に向いて進む、という選択肢があっても良いと思うのです。それをガルデンが選ぶかどうかは別にして。
で、そんな選択肢をガルデンが見つけるには、パティという「相手や自分の血筋・これまでの経緯など関係なく、自分の信じた事を主張できる人物」の存在が必要だったのではないかと。

もし、此処まで見越してアデューが「聖騎士の約束」をしたのなら、そりゃあもう凄い男だと思います。
まとめてみるなら、俺が死んだとき、ガルデンはそこで立ち止まってしまうかもしれない……だってガルデンって、俺以上の「生き甲斐」って言うか、「この世界との繋がり」が無いもんな、
よし、じゃあガルデンに俺の子孫のお守りを任せよう。俺の子孫の事だからきっと、話をしたり触れ合ったりしてる内にガルデンが立ち止まってるのに気付いて、無理やりにでも歩き出させてくれるだろう……
みたいな。
深読みのし過ぎかもしれませんが。

只、最後のガルデンの「お前たちが此処に居る、それがアデューが約束してくれた事なのだ……」というのを聞くと、この「聖騎士の約束」ってアデューの代わりにその子孫が代々ガルデンを見守ってあげますよ、って約束にも聞こえるので、この深読みもどうなんだろうと思ってしまいますが。
もしそうだとしたら、パティは「アデューの代わり」として見られる事に、最初は良くてもだんだん納得いかなくなってくるんじゃないかな……。あんなに「あたしはこうなりたいの!」みたいな主張をはっきりする子なんだし……。

其処で修羅場が起こっても良いですね。「アデューならああしたとか、アデューならそんな事は言わなかったとか、ガルデンってそればっかり!あたしはアデュー様じゃなくてパティなのよ!!」みたいな。
自分が無意識の内にアデューと比べる発言ばかりしていた事に気付いたガルデンは、ショックでしゅんとしてしまいますよ。「そんなつもりは……」とかごにょごにょ言いながら、目を潤ませてしまうかも知れません。
で、パティがそんなガルデンにどうするのかと言うと、少女漫画の王道らしく「ガルデンなんて大っ嫌い!」など言い放って走り去っても良いのですが。
個人的にはパティには「良いわ、これからあたしがアデュー様とは違うってこと、しっかり教えてあげるから」と迫ってもらいたい。別に性的な意味でなくて。
で、ガルデンには、そんなパティの「アデュー譲りだけどアデューとは違う魅力」に気付いて貰いたい。
例えば、叱られたら「ちょっとふざけただけなんだから…」と拗ねちゃう所とか。
アデューなら多分こんな時でも「まーまー良いだろ、別に」とアハハ笑いで済ませそうですが。
くるくる変わる少女の心模様に翻弄されるが良い。


アレクの話が出てきませんが、彼は……ねえ……。
アデューと同じ声、同じ顔、同じリュー、とどめにガルデンに「アデュー…?」とか言われてしまっている時点で、何かこう……ほの暗いものを予感させるのです。
ガルデンに「アデューの代わり」と見られてしまう前に、早く「自分はアデューではない」というのを主張した方が良いと思います。大きなお世話ですか。
以前にTALKで書いた様に、あのパッフィー譲りの聡明さと、不思議な押しの強さをもっと発揮したら良いのにと思うのですが。
「パティの宥め役」「アデューのそっくりさん」だけじゃ勿体無い。
希望としては、ガルデン、ヒッテルと共に酒を酌み交わせる様な、そんな落ち着いた男性になって欲しい。


パティ萌えを語るつもりが変な場所に着地してしまいましたが、それだけこの話が奥深いという事で……。



BACK   NEXT
目次ページ