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「時代は今ー?!」 「シュテル萌えーーーー!!!」 此方の御方に御墨付きを頂き、 ところで携帯で届いたメルマガに「7月10日は言わずと知れた納豆の日!」と書いてありまして。 7月10日は納豆の日って、言わずとも知れているような事なのでしょうか。 そういった記念日の類があれば直ぐにネタにする事を考えるこの私(嬉しがりとも言う)、早速考えようではないですか納豆でラヴいお話を!! やはり此処はシュテル月間ですからまずは主従のお話で………… それはある日の昼食の席。 「シュテルー!さとうを取ってくれ!」 『砂糖……で御座いますか?何をされるので?』 「なっとうに入れるのだ!」 『納豆に?!』 思わず固まるシュテル。無理も無い、これまで長い人生(?)を送ってきた彼だが、その中にさえ一度として「納豆に砂糖を入れる」というような概念は発生しなかったのだから。 「そう、なっとうに入れるのだ!そんなにおどろくことではないぞ、ジョーシキだ、ジョーシキ!」 『は、はい……。砂糖で御座いますね』 椅子(子供用)の上でふんぞり返る幼い主に言われ、シュテルはその大きな手で小さなシュガーポットを持ってくる。彼にとって主の言葉は絶対にして唯一、ONE of ALLなのだ。 淡い色のシュガーポットに入っているのは上白糖、きめ細かく口どけ優しい最高級品と言われる真っ白に精製された砂糖。それを惜しげも無く銀の匙ですくっては、納豆の入った硝子の器に入れていく。その姿には幼くして風格すら漂っている。 『(やはり我が主こそアースティアの覇王となられるお方……この気品と物怖じせぬ風格を身に着ける為には、こういった嗜好も必要なのやも知れぬ)』 アースティアのリューの中で「乗り手溺愛コンテスト」やら「プラス思考コンクール」やらがあったならば恐らく一位を総ナメにするであろう黒い騎士は、にこにこと上機嫌で納豆を混ぜる主の傍に控えてそれを見つめていたが。 「シュテルはさとうは好きじゃないのか?」 突然言われ、その思考を現実に引き戻す。 『は、この身は有機物を取る様には出来ておりませんので、何とも……』 答えると、幼い主は匙を咥えて少し考え、 「……よし、待ってろ!」 匙を放り、椅子を飛び降りてトテトテと駆けていく。 『が、ガルデン様?』 卓の上の昼餉と共に残されたシュテルは、言われた通りその場で待っていたが。 「………シュテルー!」 『ははっ』 思考に直接呼び掛けられ、急ぎ主の下へ向かった。 其処は館の裏手、食料品やら燃料やらを貯蔵しておく為の倉庫。 主はその建物の前で、物資運搬用のソリッドの上に乗って待ち構えていた。 『が、ガルデン様、危のう御座います。降りて下さいませ』 思わずうろたえるシュテルを無視し、地上5トールの足場に腕を組んで仁王立ち、翠の目を煌かせながら彼は言う。 「シュテルは食べものは食べられないのだろう?」 『…はっ。己の動力源はミストルーンで御座います故』 「でも、わたしは知っているぞ。 ミストルーンがないところでは、どうやって動くのか」 くすくす笑い、ソリッドが抱えている物を顎で示す。 ミストタンク。 ミストルーンを自力で取り入れられない機械(それが殆どなのだが)の為、それを液体化し、詰めたもの。 本来はソリッド用の燃料タンク扱いなのだが…… 「リューもこれをつけることができるのだろう? シュテルも!」 悪い予感に襲われながらも、シュテルは正直に諾と答える。すると主はますます目を輝かせ、頬をピンクに染めて、 「だったらこの『液化ミストルーン』をのむこともできるんじゃないか! さあ、やってみろ!!」 ……この燃料タンクをつけてみろという事だろうか?しかし何故? 主の意図を測りつつ、シュテルはそのソリッドからミストタンクを受け取ろうとした。 が。 ふと目に入ったものに、その動きを止める。 『……ガルデン様』 「うん?」 『あそこで空になって積んである袋の山は一体、何で御座いますか?』 シュテルが指し示す先……建物の入り口近くに積んである、茶色く大きな袋の束。 どれも破られ、中身は空にしてある。 尋ねられた主は何ら悪びれる様子も無く、 「さとうだ!『液化ミストルーン』にまぜた!!」 『………失礼致します、急用を思い出しました故!!』 「シュテル!!」 咄嗟に逃亡しようとしたシュテルを呼び止め、子供には些か大きいソリッドのコクピットに身を滑り込ませながら、幼い主は一喝する。 「このわたしの言うことがきけないのか! このわたしはいずれアースティアのはおうとなるべきもの…… そんなほこり高きガルデン一ぞくの長をあるじとしていながら、お前はそのあるじにそむき、にげようというのか!! それでもお前はわたしのリュー、ひるいなき力をほこり、して世界にその名をとどろかせんとするゆいいつむひなるやみのリュー、ダークナイト・シュテルか?! おのがたちば、その心、わたしにつかえるとちかったあの日を今一どかえりみてみるがいい!!!」 『………!!!』 舌っ足らずで高い幼い子供の言葉。 しかし其処に篭められた絶大なるカリスマと矜持に背く事など、このシュテルに出来る筈が無い。 正に雷に打たれたように硬直した下僕に、主は嬉々として巧みにソリッドを操って近付き、 「そういうわけだから、さっそくつけてみろ!さとうがあまくておいしいことを教えてやる!」 『?!が、ガルデン様ッ!!』 獲物を前にした猫のように目を光らせながら迫る主と、慌てて後退るシュテル。 暫く揉み合いが続いたが、所詮主に下僕が叶う筈も無く。 「えーっと、ミストタンクとりつけ口は……ここだな。 えい!あれ?入らない…えい!えい!このっ!!」 『ご、御無体を!!御許し下さい我が主!!しかも其処は違います!! 痛い、御勘弁をガルデン様!!ボディに傷が…… ア゛ーーーーーーーーッッッッ!!!!!』 ……一時間後に用事から帰って来たイドロは、倉庫の前で真っ白に燃え尽きているシュテルと「シュテルが死んじゃった〜〜〜!!!」と泣きじゃくるガルデンを発見して仰天。 何らかの不純物の大量混入によりオーバーヒートしたシュテルのエンジン部を分解・洗浄し、彼が意識を取り戻すまでには実に半日の時間を要する事となった。 その後幼い主と忠実な下僕の関係が悪化したかと言うとそんな事は無く、 「すまない、シュテル。もうあんなことはしないからな」 (「液化ミストルーン」にまぜたのがきっとよくなかったんだ。 こんどはさとうを「気化」させてすわせてみよう) 『いえ、ガルデン様。詫びねばならぬのは己の方。 折角の御好意を無にしてしまった、己の不甲斐なさを御許し下さい』 (やはりまだガルデン様は幼い……この幼い主をありとあらゆる害から護る為に、この身を粉にしても御尽くししよう) ……却って信頼を深め、より一層の強固な仲になったと言う。 <劇終> イヤァァァーーーー!!!(TV10話のパッフィー風に) こ、これは違う!どれが正しいとかどれが悪いとかそんなのは判らないけれどこれは違う!!! しかもオチが納豆と全然関係無いところに着地してるし!! やはり此処は慣れ親しんだアデュー×ガルデンで……!! 俺の同居人、ガルデン(国籍不明・無職)は納豆が嫌いだ。 何でも昔、そうと知らずに食べさせられたのがトラウマになっているらしい。 でも、食べるのは嫌いでも混ぜるのは好きなようだ。 今朝もあいつは食卓に(俺の分だけ)出された納豆に薬味を入れ、たれを入れ、卵(黄身だけを入れるのがポイントなんだってさ。自分では食べないのに)を入れて、箸を器用に使ってくるくると掻き混ぜる。 その見事な手首のスナップとリズムに暫し見惚れる内、陶製の器の中で混ざり合い、空気を含んで泡立っていく納豆。 卵の黄身の所為か、その色は黄金と言って良い綺麗な黄色で、更に粘りも強い。 さっと箸を持ち上げるとまるで飴細工のように腰の強い糸を引くそれに、ガルデンは満足げな、恍惚とさえとれる薄い笑みを浮かべ、 「ふふ……私の混ぜた納豆は世界一だ……私はこれで世界を制するのだ……」 と寝惚けた事を言いながら、翠の目を細める。 俺は適当に相槌を打ち、それを受け取って自分の飯の上に掛けながら、プロポーズの言葉は「これからも毎朝お前の混ぜた納豆が食べたい」で決まりだな、と何度思ったか知れない事を考える。 ―――――射し込む朝の光に輝く納豆は確かに美味で、けれど彼は自分が混ぜたそれを一度も食べた事が無いと言う。 ……こいつの納豆嫌いは、食わず嫌いじゃないだろうか? 思った俺は、幸福な朝の一時を共有せんと、協調性無くクロワッサンを齧っている彼の細いおとがいを持ち上げ、その唇にキスを――――― 違う!違う違う違うッッッ!!!(TV36話のガルデン風に) 私が書きたかったものはこんなんじゃない、もっと……こう……爽やかな……!! 「ねえねえガルデン!」 「何だ、パティ」 「凄い事聞いちゃったの。 あたしの友達ね、納豆に大根おろしを入れるんだって!」 「……ほう」 「水っぽくてべたべたになるんじゃないの?って聞いたら、そんな事は無い、美味しいよって。 ガルデンは信じられる?大根おろしよ?」 「……試してみよう」 「えっ?」 「此処に何故か大根おろしと納豆、各種薬味がある」 「本当だわ!どうして?」 「…………。」 「……そんな哀しそうな顔しないでよ……判ったわ、もう訊かないから。 ……で、これで実際に作って食べてみようって事ね?」 「そうだ。 大根おろしの水気を軽く絞り、醤油等の調味料は入れすぎず、代わりに少し塩を入れる。この塩がポイントだ」 「塩?……判った!多くなりがちな水分を塩で吸って、固めに仕上げる為ね!」 「そうだパティ。因みにこの方法は御飯などにかけず納豆のみをそのまま食べる時にも適している」 「さっすがガルデンv伊達に年取ってないわね!」 「…………。」 「……悪かったわ、だからそんな悲痛な顔をして在りし日のアデュー様とパッフィー様に思いを馳せないで……。 ……大根おろしと納豆、調味料、それにあさつきの小口切り。彩りもばっちりね!」 「うむ。あさつきでなくとも白髪葱や万能葱、青しそを刻んだものでも良かろう。 これを混ぜた納豆の上にぱらぱらと落とし…… さあ、食べてみろパティ」 「う、うん!………(恐る恐る) …………… お、美味しい!! 凄くさっぱりして、後味も爽やか、まるで喉を滑っていくようだわ! 心配していた水っぽさも無いし、これなら幾らでもご飯が食べられそう! それに大根おろしや薬味の辛味がびりっと効いて、夏に食欲が無い時にもぴったりね!!」 驚き、喜びの声を上げるパティ。 彼女は知らない、その傍らで満足げに微笑み、優しく目を細めるガルデンが三百年の永きに渡り、納豆に大根おろしを入れ続けてきたことを。 目に見えない場所で、或いは目に見えるもので結ばれる、幸福の形。 尚一層近付きあったふたりの心を祝福するように、初夏の太陽は眩しく、しかし柔らかく照り続けていた。 〜fin.〜 ダーーーーッッッ!!!(特典CD2巻ジャケットギルツ風に) も、もう……駄目だ……所詮私には手に負えないお題だったんですね……。 と言うか最初から「納豆と言いますと好きとか嫌いとかアレを入れるコレを入れる、いやそんなのは入れない、うちの家では常識なんだよ、へっ、お前ンちおかしいんじゃねーの、何いテメエ表に出ろ!!上等だやってやろうじゃねえか!!二人ともやめてええ!!なんて光景が良く見られますが皆様如何お過ごしでしょうかTALK-Gです」とか書いておけば良かったんじゃないか!!バカバカ!!もう……ワァァァー!!! あと、ガルデンが納豆掻き混ぜる描写で「くるくる」と書くべきところをキーを押し間違えて「じゅるじゅる」と書きかけました。(蒼白)「K」の隣に「J」があるからこんな事になるんですね。
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