TOM's Diary
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2006年04月14日(金) S氏の友達

K氏はS氏の友達。
K氏はいつものようにS氏の家に向かった。
K氏はS氏の家の門の前に到着すると車を慎重に進めた。

なんどもS氏の家のセキュリティーを作動させては
S氏に怒られていたからだ。

門の前の決められた位置にクルマを停め、門扉に記載された
とおりエンジンを一旦切り、ドアをゆっくりと開けて、
守衛所に向かう。守衛所と言っても、守衛が居るわけではない。
タッチパネル式のモニターがあるだけだ。ここで画面の指示に
従い、名前や約束の有無、用件などを適当に入力していく。
K氏はここで、ふざけて偽名やうその用件を入力して警察に
自動通報されたことが何度もあったが、今日はそのような失敗を
しないように、適度なうそを交えて入力していった。
(ぶっちゃけ、すべてほんとのことを入力したことが過去にあった
のだが、これも警察に通報されてしまった。S氏のユーモアの
センスには呆れてしまう)
入力を終えると同時に門がゆっくりと開き始めた。

K氏はクルマに乗り込み、ゆっくりと門の内側に入った。
その先には大きな壁がある。その裏に回りこむともう一つの門がある。
後ろの門から勢いをつけて内門に体当たりされないための壁だ。
内門を開くためにはクルマに乗っている全員の顔や氏名の確認が
行われる。所定の場所にクルマを停めるとロボットか近づき、
身分証明書を見せなければならない。ロボットがすべてを確認すると
ロボットは内門の前に行き、大きな門をゆっくりと開けてくれる。

K氏はロボットに一礼しながらゆっくりと内門をくぐった。
以前にロボットに挨拶をせずに門をくぐろうとして、いきなり門を
閉められたことがあった。小さなロボットのクセに恐ろしいほどの
パワーを持っており、K氏のクルマは完全に潰れてしまったのだ。

無事に門をくぐると、今度は地雷ゾーンである。
ここは、指定された速度でゆっくりとクルマを進めなければならない。
早すぎても遅すぎても地雷が爆発する。もちろん、指定速度で
走行するだけならたやすいのだが、一定速度で走行している間に
クルマのチェックが入念に行われる。怪しい電波が出ていたり、
不審なものが付いているだけで地雷が作動する。このゾーンに入る
には携帯の電源を切り、不審に思われかねない荷物はすべて降ろさねば
ならなかった。

ここはS氏によると、原理的に時速300キロを超える速度で通過する
ことができれば、システム的には機能させられないと聞いていたK氏
は一度、時速300キロにチャレンジした。問題は地雷ゾーンに入る
までの加速区間が短いことだったが、K氏は考えられる限りのチュー
ニングを自車に施し、無事に地雷ゾーンを通過することが出来たのだった。
しかし、地雷ゾーンの先はすぐに壁になっており、K氏のクルマは
地雷ゾーン通過直後にゲームオーバーとなってしまったのだった。
ちなみにこの地雷ゾーン、名づけたのはK氏であり、本物の地雷が
爆発するわけではない。怪しい車が通過すると紫外線に反応する
カラーインク入りカプセルがはじけるだけで、壁にぶつけさえ
しなければ、大金を投じたK氏のクルマが壊れることはなかった
のだが・・・

その後に続くさまざまな難関の乗り越えたK氏はようやくS氏の
家の玄関前までたどり着いた。K氏がここまでたどり着いたのは
初めてであった。ここまでたどり着くのに、どれだけの期間と
金がかかったかを思うと、思わず感極まって声もでないほどであった。
残すはあと一つ、ここでしくじってはすべてが無駄に終わってしまう。
K氏ははやる気持ちを抑え、ドアボーイロボットがクルマのドアを
あけてくれるのを待っていた。

そこへ、S氏が顔を見せた。
何年ぶりかで見たS氏の顔である。なにしろここにたどり着くまでに
何年もかかっていたのだから当然である。

S氏はK氏を見つけると走っていき、ドアボーイロボットを押しのけ、
K氏のクルマのドアを開けた。そのとたんドアボーイロボットは、
K氏が無断でドアを開けたと判断し、K氏をクルマごと捕らえて
スタート地点まで連れ戻してしまった。

S氏のせいで、また最初からやり直しかと思うと気分がめいっていた
K氏のもとにS氏が現れてこう言うのだった。

「なんで、向こうのノーチェックで入れる門から入らないの?」

こうして、K氏は初めてS氏の家に簡単に入れることを知るのだった。


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