TOM's Diary
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S氏は珍しく、短編小説を書いていた。 いまどきはパソコンのワープロソフトを使用して書くのが普通だが、 S氏は小説を書くときくらい万年筆が良いと言うこだわりを持っていた。
しかし、近頃めっきり手書きで文章を書いていなかったS氏は すぐに腕が痛くなってしまった。やっぱりパソコンのほうが 楽だな・・・そう思ったS氏は、パソコンに入力した文字を クモ型ロボットに手書きさせることにした。 S氏はさっそくS氏が作った高性能、クモ型ロボットを呼び出し、 パソコンとケーブルでつないだ。
クモ型ロボットはとても退屈そうにS氏がパソコンに入力した 文章を万年筆で手書きしていった。S氏の入力速度はかなり 早いほうだが、クモ型ロボットの手書き速度はもっと早い。 クモ型ロボットは退屈で仕方が無かった。が、S氏にもこだわり があるのだろうと、クモ型ロボットは我慢した。
1時間ほどするとS氏の入力速度がどんどん落ちてきた。 あきれたクモ型ロボットがS氏の見ているパソコンの画面に メッセージを送った。
「あのさぁ、口でしゃべってくれない?ぶっちゃけ、あんたの 入力速度遅すぎて退屈なんですけど・・・」
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S氏は「その手があったか!」と感心した。 さっそくS氏は短編小説の内容をしゃべり始めた。 クモ型ロボットは手書きをしつつもパソコンのほうへもデータ を送信して、さらに空いた手で、疲れたS氏の身体をマッサージ し始めた。
それにしてもS氏のこだわりっていったい・・・ と思うクモ型ロボットであった。
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