Leaflets of the Rikyu Rat
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年下と付き合うことになった。 友人には「啓介が年下の髭なしと付き合うだなんてイチローが野球やめてトリマーになると言うくらいインパクトがある」という ようなことをメールで言われる。イチローのトリマーは意外に似合うかも分からないが、僕に年下の髭なしが似合うかはまだ良く分からない。 別の知り合いからは「条例違反なんじゃないか」と言われる。 僕の作った六法辞書なんてほとんど誰も読まないだろうと、 但し、年下髭なしも可。こっそり但し書きを書き足してもばれないだろうと思った。ばればれだった。そこだけインクの色が違った。 自分で作った法律だったのに、 気付いたら自分がその抜け穴に迷い込んでいたようだ。 勝手に落とし穴に堕ちてしまったらしい。 グレーゾーン恋愛。十九歳の子だから違反ではありません。 自分の趣味が少し良く分からなくなりもしたのだけれど、 それでもその子と一緒にいると嬉しいから良いのだと思う。しあわせだと思えればなんでも良いのだと思う。
彼は若い。若くて一生懸命で先を見ていて けれどもまだ定まっていないところがあって そういうところを支えてあげたいと思ってしまうし手助けしてあげたいと思ってしまう。 時折ひどく頼りなく、時折ひどく眩しい。 自分自身と向き合おうとする姿勢が好ましく思えて 以前の僕と重なるような気がしないでもない そのせいか 手を引いてあげたくなる。 歩くのは彼自身だ。彼が道を踏み外さないように見守ってあげたいし、路頭で迷い込んでしまったらこっそりとヒントをあげたい。 けどそうやって僕がするアドバイスは僕の作った解答への道に過ぎないから、できれば彼に自分自身の頭で答えを見つけて欲しいとも思う。 僕が気付かなかった新しい答えを見つけて僕を驚かして欲しいとも思う。
僕は彼のためになんだってしてあげたくなっていて、少し危ない。 早く仕事をしてお金を稼いでいろんなところへ連れ回してやりたいし、 自分がうまいと思ったものを食わせてやりたいと思ってしまう。 それは年上のひとと付き合っていたときには湧かなかった情で、 自分もしっかりしなければいけないのだと思う。そう思わされる。嬉しい。 無償で何かをしようと言う気持ちは驕りだから。
僕と付き合っていたすべての年上のひとびとは こんな思いで僕のことを見守ってくれていたのだろうか。 応援していてくれていたのだろうか。 真偽など分からないけれど そう思うと彼らには感謝しなければならないと感じた。
この世界に無償なんて存在しないから。
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