Leaflets of the Rikyu Rat
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先日大学の先輩と晩飯を食った折、 人間には今を生きる人間と、将来のために(今のうちからしっかりと準備をして)生きる人間がいるのだという話になった。 先輩は少し話せばそうだと分かるし、彼自身もまたそう言うように、将来のために生きる人間であった。対して、 「僕は欲張りだから両方欲しいよ」と言ったら笑われた。
僕の彼はまた将来のために生きる人間であった。
「東京に就職したい。」 そう言った時点で、彼の中では全てが終わっていたようであった。 僕が目指している公認会計士という職業は、 求人の過半数以上が東京に集中しており また待遇も圧倒的に東京が良い。 よっぽど地方に対する執着が無い限りは、 東京で就職先を探すのが普通のようであった。 というか、今現在、ただでさえ資格を取っても就職先が無い状態である。 地方で探すほどの余裕も無いのだ。 大学で上阪した僕には勿論、土地に対する執着と言うものは無い。 たとえば、待遇の悪い土地で一生を過ごせと言われれば なんとなく気が向かなくなるだろう。 ここの土地に僕がいる利点は彼がいるということ。 ただ一つであった。
対して、彼は一生を大阪で過ごすことが決まっている。 彼は心から望んでその地に暮らしている。 大阪以外の土地で暮らす気はさらさら無く、頼まれても、 何があろうとも断るであろう。 それは彼自身を囲み、そして彼自身を作ってきた環境が、どうしようも無く決定付けている。 僕がどうこうできるものではなく、また僕のわがままのためだけにそれを変えさせるべきでも無い。 たとえ一生のわがままとして願ったとしても、その願いが叶うことは無いだろう。
「今のためだけに生きれる程、僕は若くないから」と彼は言った。
いつも感じていた“置いてかれてる”感は間違っていなかったのだと、 この日僕は確信した。 彼は未来を見つめ、僕は今を生きている。 僕は今、なんのためにここに存在しているのか。 未来のために僕はここにいるのか。 だとしたら、今ここにいる僕は何のために存在しているのか。 そのように感じていた僕は、彼とは決定的にズレていたのかもしれない。
そんな彼の未来に、僕はもういなかった。 そうして彼の今に、僕はいなくなった。
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