航宙日誌
『革命戦記』と輝&Ark☆の珍道中?

2003年10月10日(金) ニッポニア・ニッポン

 トキの学名。日本の名が正式に冠せられたものとしては唯一、だったかな?(記憶違いかもしれない)
 トキは日本と中国に生息していたが──正しく、過去形として書かなければならなくなった。日本産トキの最後の生き残り「キン」が死亡したからだ。推定では36歳。人間に例えれば、100歳の高齢。長生きはしたものの、その生涯の殆どを保護センターで過ごしたという。
 保護の名のもとに捕獲されたのは生後一年ほどの幼鳥の頃だったという。であれば、佐渡の大空を飛んだこともなかったのかもしれない。しかし、そうしなければならないほどにトキは既に減っていたという。
 それから35年、数少ない仲間を全て見送った「キン」は眠るように死んだ。しかも、研究の名の元に解剖されるという。悪いこととまではいわないが、虚しく感じる。その昔、江戸の頃までは日本全国を飛び、珍しくもなかった鳥が死んだといって、解剖されたりはしなかっただろう。
 尤も、その珍しくもない鳥が美しい羽を持っていたからこそ、乱獲が始まり、絶滅への道を辿ることにもなったのかもしれないが。少しくらい獲っても、減りはしないと思われたのか?
 トキは全身、ほぼ白っぽい鳥だが、古くから『朱鷺色』と称される『淡いピンク色』をも持つ。それが風切羽で、羽を広げなければ、見ることはできない。飛ぶ時だけ、空に映えただろう色だ。それ故に、狩られるようになったとは複雑な話だ。
 江戸にはその辺を飛んでいても、当たり前の鳥だった。明治以降、乱獲が始まり、50年を経たずして、大正期には絶滅したと思われていた。それが佐渡で発見されたのも、島が一種、隔離した環境を作っていたためと考えられる。
 それでも、トキという種の寿命は長くはなかった。これは何もトキには限らないだろう。絶滅危惧種に数えられている生き物は多い。それもメダカなど、意外と身近に感じていたはずのものが種の存続の危機に瀕している。
 いつか、人間なる種をも襲う運命かも、しれない──くらいは考えるべきかもしれない?


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