巨大デパートの吹き抜けの回廊で、 エスカレーターを上り下りする人々を眺めていたら、 警備員がボクに近寄ってきてささやいた。 「これだけ大勢の中で本当にここで買い物をする人は10人に1人だ」 その一年半後にそのデパートは潰れた。
先月、静岡県富士市で起きた壁の崩落事故は、 その同系列の店舗解体工事中の事故である。 3人の方が死亡するという悲惨な事故になってしまった。
折しもその会社の創始者がモデルとなった連続テレビ小説が 再放送されてる時期だった。 皮肉なものだ。
その解体された店舗こそが「そこの土地には出店してはならない」 と創始者が忠告していた店舗だったそうだ。 破滅へ導いたその当時の経営者を批判する声は大きい。
今までの経済は会社を大きくするのが当たり前と言う論理を、 疑いもぜずに突っ走ってきた。 それには当然大きな責任感も一緒にともなう。
しかし今は、商売をする上で何が正しくて何が正しくないのか暗中模索の時代になってしまった。 正道が通じない世の中かもしれない。 そんな中で「次」を見い出すことは非常に難しい。
私は7年前にその巨大デパートの最上階で、 12元の牛肉麺を食べて帰ってきた。 あの巨大建築物は今何に利用されているのだろうか。
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