「うちの母の時には来てくれなかった」
ダンナの妹さんの嫁ぎ先で不幸があった。
妹の義母さんは80を越す。日頃の付き合いどころか顔もよく知らない。
子ども達に学校を休ませ、葬儀はもちろん焼き場まで…。と。
ダンナが当たり前のように言い出した時、思わず返した私の言葉。
え?
何言ってんのよ。
突いて出た自分の言葉に唖然とする。
年相応の往生とはいえ、おまえ、ふつう先に、
大変やったんやねぇ… 何か手伝う事はないか… とは言わないのか。
2年前の母の葬儀の時。
義母と妹さんは参ってくれたが、ダンナさんと、子ども達は来なかった。
そりゃ。嫁さんの実家のことだもんな。
そんなもんでしょと思っていた。
今回は立場が逆になって、だから腹が立つのか。
そんな話じゃないだろ。おまえ。
頭では分かっていても。
こんな時に出てくる、どこかで意識している、互いのウチとヨソ。
お互い、張り合うような家柄でもないが…。
夫婦は他人の始まりなのだ。まして。それぞれのつながりといえば。
嫁いだ先のご主人よりも、兄を頼りにしている妹さん。
私と結婚する前からずっとこういう付き合いだったんだろう。
ダンナに悪い事を言ったなと思いつつ。素直になれない。
請負の仕事を休むのは大変なんだとその段取りを考えている。
喪服はクリーニングに出したっけと考える。
私が死んだら葬式なんかしなくたっていいやと考える。
相変わらず、なんと心が貧しいことか。
冴えない梅雨空のごとく、ますます自己嫌悪に陥りそう…。やっぱり情が欠落しているのか。
つまんないニンゲンだな。私。
先月来、疑心暗鬼の父に医者が余命を宣告した。
痛みが進んでくれば入院もやむなしと医者は穏やかに諭した。
今まで気が弱くて、立ち向かうよりは、その場の状況から逃げてきた父。
見ない振りして自分を騙してきた父。
楽なほうに流れる父。
強くなくたっていいやん。最後まで逃げちゃえ。
Sako