午後から仕事先でミーティングがあった。
産休で休んでいた女の子が赤ちゃんを連れて来ていた。
生後約2ヶ月の赤ちゃんを抱っこさせてもらう。
おっとっとと。
ぐらぐら ふにゃり。
首ががくんと
倒れそうでこわい。
腕にじんわり伝わる
赤ちゃんの体温
皺が残る
白くてちっちゃな
手の指。足の指。
自然に笑みが。目を細める私に、同僚が言った。
なに。「まるで、おばあちゃんの気分」だって?
失礼な。まだそんな歳じゃないぞ。
子育てというプレッシャーがないだけ、余計に可愛く思うのかもしれない。
あるいは歳を取るに従って、命を愛しく思うのかもしれない。
歩きながら揺らしていると一人前にあくびをした。
そろそろお母さんのところへ戻ろうか。
ニコニコとその様子を眺めている彼女に、目線を送り、近寄った。
さぁ。お母さんと交代しましょ。
可愛い赤ちゃん、お返ししますよ。
ところが。彼女の手はコーヒーカップを持ったまま。
おいおい…。いつまで子守をさせる気だ。
あのさ。もう寝るんじゃないかなぁ(だから抱けよ。タッチ交代)
しばらくして、彼女はようやくスリングを出してきた。
ニコニコしながら、ペロリと舌を出したような気がしたのは気のせいか。
お母さんの腕の中に戻る、いつもの重み。
そうだよね。
こちらは可愛い、可愛いでこと済むが、彼女にとっては、それが日常。
17年前の初めての出産。一人目の育児。
双方のジジババの手もあてにできず、ダンナは仕事。
可愛いと思う余裕もなく、赤ん坊と二人煮詰まっていた日々を思い出す。
がんばってね。お母さん。
多くの手。みんなに祝福されて良かったね、赤ちゃん。
Sako