母の命日の前日、父の顔を見に実家へ寄った。
相変わらず、父は裏の老人会所へ囲碁を打ちに行っているようだ。
そんな元気がまだあれば幸いと思うが、それは普段父と接しないお気楽者の言う事で。二日置きに通ってくる姉には、つい怒ってしまいそうな弱気な愚痴をこぼすらしい。
そのくせ病院へは行こうとしない。痛いと言って病院へ行って、そのまま家に戻れなくなることを恐れているのだ。
姉の話を聞き、仕事が入っていたので、父の帰りを待たずに引き上げた。
残念と思う反面、気弱な父の顔を見ずにすむことに、どこかホッとしている自分を感じる。
目を瞑っている間に時間がこぼれていく。
この臆病者。薄情者。逃げても無駄だ。
おっと。
仏壇に手を合わせてくるのを忘れてしまった。
相変わらず、こんな奴です。おっかさん。
Sako