京のいけず日記

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2006年04月27日(木) 希薄

通夜に列席するため、朝から休講の段取りなど仕事の手配をしていた。

訃報を知ったのは、昨夜10時半ごろ。鍵をあけて家に入るなり、
「回覧板は回っていなかったか?」とダンナが聞いた。

新聞にも載ったらしい。
会社員 バイク ツーリング中に事故死

嘘!? という言葉と一緒に、そのお母さんの顔が浮かぶ。
20を少し越したばかり、これから…、という将来ある一人息子さんだった。


電話を掛けてきた姉にその話をしたら、情が深く感じやすい姉は涙声になった。

「人生って…ちょっと嬉しい、楽しいことはたくさんあっても、
 ほとんど辛いことばかりやなぁ…」と。

辛いことを克服するために人は生きているのかもしれないと。

それが言葉の単なる飾りじゃないことを私は知っている。

何も言い返せなかった。
姉の言葉を否定するにも、同調するにも、私には何も言葉がなかった。

すごく嬉しいことも。すごく辛いことも。すごく悲しいことも…。
受け止める器を持たないまま、掴めないまま、なるがまま来たような気がする。

すべてが歪で希薄なように何かが欠落しているようだ。
生きていないのかもしれない。 
時間を消費するだけで。

そんな事を言い出せば、きっと姉を悲しませ傷つけてしまう。
何も言わずに電話を切った。
戸惑った顔を見られなくて、電話でよかったと思った。


週末、兄を交えて兄弟三人で会う。
入院する父の今後の癌治療のことだ。

突然の死。遠くない将来、やってくる高齢の父の死。
人の死がこんなに間近にあるというのに、
溢れてくる涙とは別に、どこかが醒めている自分。

正直、優しい姉や、兄達に会うのが恐い。


落書き絵…見えない何かが連鎖しているようだ。

気をつけろ。
欠陥人間でもいい。 大切なものを守れ。


Sako