夜、仕事帰り、路面電車に乗り込んだ。
始発駅で発車を待っていると乗客とともに一匹の蛾が迷い込んできた。
出口を探して天井に何度も体当たりしたり、窓や、床を低くさまよっている。
肩をすぼめて不快そうに視線で蛾を追う年配の女性。
すぐさま場所を移動した若い女の子。
不思議そうに見つめている青年。
何の反応もなくひたすら新聞を読むおじさん。
そのうち蛾は疲れたのか、床にしばし羽根をたたんでいた。
そこへ駆け込み乗車のサラリーマンの足が…!
踏まれたっ…と思った瞬間、
蛾はゆらゆらと飛び、開いてたドアから外へ出て行った。
良かった。
出て行ったドアから視線を戻したら、向かいに座っていた気難しそうなおじさんと、一瞬目があった。
そのおじさんの口元がほころんだような気がした。
やれやれ…と苦手な虫の姿が消えて安心した人。
いろんな意味で、みんながホッとした通勤途中の一場面でした。
願うことあるかも知らす火取虫 (By 豊玉宗匠)
こんな感傷的な句を読んだ歳三さんならどう思っただろう…。
えぇい。この毒蛾めがッ。と握りつぶした…なんて、まさかね (^-^;)
こちらは 「紙魚」 シミと読みます。
英語ではシルバーフィッシュという
ロマンティックな名前なんですがね。
うちんちは押入れの中の
湿気った本の間で時々見かけます。
過去の日記にも登場
Sako