深夜に再放送されたフジテレビの
報道ヒューマン・スペシャル『13歳の遺言 〜健ちゃんが伝えたかったこと〜』を見た。
明日の仕事の準備をしながら、偶然かかった番組を見るともなしに見ていた。
この手の番組をめったと見ないし、製作サイトの作為的なものは苦手だった。
泣くはずではなかった。
ところが。
「あさって死にたい」
僕が入院するとみんながケンカするから…。早く死にたい。
たった13歳とは思えない、大人びた表情の健太郎くんの口から、この言葉が
途切れ途切れに聞こえた時、私は涙をこぼしてた。
兄の裸の気持を一番近くで感じていた3つ違いの妹の美咲ちゃん。
兄と同じ13歳になった少女が一番大切にしているものは、小さなカプセルに入れた遺髪だった。
か細い兄の遺髪を優しく手にする少女を見た時、私は恥ずかしくなった。
たった13歳の、この兄弟たちは何と大人なんだろう。
辛さと闘い、大切なものと真剣に向き合い、受け止め、人を思いやる。
大人が教えるべきことを、彼らはその姿で発信する。
身勝手なこんな言い方はいけないのかもしれないが。
神様はきっと人を見て、器を見て、あらゆるものを与えるのだろう。
強く、勇気のある、真に優しい者だけが、受け取る資格があるのだと思う。
試練も、苦しみも、人の情も、何も背負わない者は、果たして幸せだろうか。
何も背負わない者は、幸運とただ喜ぶ前に、その身の軽さを問うた方がいい。
長女と同じ平成元年生まれの健太郎くん、元気であれば高校生。
二女と同じ3つ違いの妹、美咲ちゃん、中学生。
ごくあたりまえに明日がくると思う日々。
健太郎くんのように、亡くなった母のように、最後まできちんと死にたい。
Sako