京のいけず日記

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2006年01月17日(火) 足音

夕食時、阪神淡路大震災のニュースを見て、まる子ちゃんが言った。
「今日は一日これやってはるなぁ」
11年前。まだ1歳代の幼児だった娘は何も覚えていない。

京都でも震度5。早朝の突然の揺れに飛び起きた。慌てて付けたTVから地震の被害が次第に分かるに連れて驚愕した。倒壊したビル、高速道路。こんなに脆くも壊れるものかと別の世界を見ているようだった。

非常時に備えようと非難袋も用意したが、例年、その心積もりも、恐怖も、賞味期限切れのリュックの中の荷とともに褪せていく。人のつながりが大切なのだと思いつつ、日頃の付き合いを疎かにする。反省したい。


階段毎日の通勤で何段もの階段の昇り降りをする。

地下鉄からの階段は長くて、体がしんどい時などは恨みたくもなる。

足が重くて階段の途中で立ち止まりそうになる時もある。

そんな時、ゆっくりとスローモーションのように一歩ずつ前を昇ってく、おばあさんや、お母さんに手を引いてもらいながら、恐る恐る階段を降りてくる幼児や、一段抜きに元気に駆け上がっていく青年や、カンカンとまるでサンダルのような、けたたましい音を立てるお嬢さんの足音に時に励まされる。

耳で足音を追いかける。
その足音に合わせて、重い自分の足を持ち上げる。
もう一段。もう一段。ほら、もう地上だ。

ほんま、情けねぇ。
非常時、自分の体力がものをいう。
電車の来ない線路を延々と歩いて家に辿り着けるだろうか。
誰かを励まして一緒に歩けるだろうか。

体力のない、情けない、この体から響かす足音も、もしかしたら、
後を行く誰かの励みになっているだろうか。


Sako