歳三@五稜郭フィギュア IN Kyoto
観光始動前の素顔の嵐山。朝の澄んだ空気が気持ちいいです。
…ことの起こりは夕餉の団欒の時間だった。
珍しく本の話題で高校生の長女と中学生のまる子ちゃんが盛り上がっていた。
「でな。お姉ちゃん。うちが図書券いっぱい持ってるっていうたら。
友達が450円で買ってあげるって。で、買ってもらった」
と、何故か得意そうに話すまる子ちゃん。
「えっ!?」
聞くことはなしに聞いていた、寝耳に水の私。
ギョッとして、まる子の顔を覗いた。
「ほんま。あほやなぁ。それやったら50円損してるやんか」 と、お姉ちゃん。
そんな問題かい。
聞きとがめると、二人はきょとんとした表情で、急に怒り出した私を見た。
長女がまじめな顔をして聞き返す。
「お母さん、なんで売ったらあかんのん?」と。
図書券ばっかり持って困っていたまる子には現金が入るし、お友達は安くて図書券が買える。それのどこが悪いの。と、こういうことだ。
なるほど。立派なビジネスだ。そういうの換金商売っていうんやで。
「そやし。それの、どこがあかんの」
ど、どこがあかんのって…。
だいたい自分で稼いだお金とちゃうやろ。
図書券だって、まる子にって、お母さん達があげたもんやろ。
でも。…お金にしろ、物にしろ、あげたもん、どう使おうが勝手ちゃうんか?
と、どこかで自分が反撃する。
…子どもやし、商売したらあかんのか? 儲けを考えたらあかんのか?
と、小利にさとい、元商売人の娘はひとり心の中で反芻する。
理屈を言えば言うほど揺らいでくる。何て頼りない大人だろう…。
「お母さん?」
納得のいく答えを期待して待つ子ども達。
「あんな。子どもの分際で、親の知らないところで、子ども同士がお金のやり取りをするのは、お母さんは、嫌いなんッ」
「そやし、あかん、言うたら、絶対、あかんのッ!わかった!?」
結局、こうか…。嫌だから嫌。利でつめられない。親の感情論。
お姉ちゃんあたりは案外ペロリと舌を出しているんだろうけど…。
それでも、親が理屈ではなく、断固として嫌だ、と、いうことは見せつけておくのは必要なことかもしれない。…と、馬鹿母は今日も自己弁護。
それにしても、うちの子どもらって、まじめやなぁ…と、つくづく思う。
それとも「うちの子に限って」と、親が知らないだけなんだろうか。
私が中学生の頃といえば…。
うちは煙草屋だったので、お店の小銭、店番をするついでに、よくポッポナイナイした。バラまき先は駄菓子屋や、お好み屋で、可愛いもんですが。
友達に奢ったり。貸し本屋に入りびたったり。友達に売るにしろ、買うにしろ、まる子みたいなことだって、してるかもしれないなぁ。覚えはないが。
いや、ま。それに、私なら親の前でボロを出すようなことはしませんが。
でも。…母はたぶん知っていたんだと思う。
小銭ならいざ知らず、札なんて抜いた日にゃ。煙草屋の一日の売上なんてタカがしれていますから。…高いお手伝い賃です。
知っていて、母は何も言わなかった。
だから度を過ぎるような事はしなかった。
配給前の工面に四苦八苦するような頃に手を出すような真似もしない。
だからって、褒めたこととちゃいますぜ…(^-^;)
よくよく考えてみると不思議な家だった。
若い頃の父はちっともマジメに働かず。母は細々と日銭商売。
何せ、煙草の配給時に、支払う金がないと毎回あたふたするような家で、
金銭感覚もサラリーマン所帯とはどうも違うようだった。
今に至っても、給料日前だから我慢しようとか、給料日だから張り込もうとか、そういう感覚がない、困った奥さんなのだ。
私だけかと思っていたら、私とは比べ物にならないぐらい、よく出来た姉でさえ、こうだと聞いて少し安心した覚えがある。
ダンナが給与明細を細かくチェックしたり、お金の管理をこと細かにする人だったら、窮屈し過ぎて、ほうり出されていたかもしれません。
あ。だからって、だらしない、とか、やりくり下手ではありませんよ。
どっちかいうと、利にさとく、貯め込むほうで、欲深じゃないかしらん。
金は天下の回り物、必要な時に必要な分あればいい…というのが、機職人の家で育ったダンナの考え方です。
本当はそれでいいんでしょうね。必要な時に必要な分だけあれば。
たくさん有る所から、無くて困っている所へ流れていけば。
…ん? まる子ちゃんの換金事件はどうなったんだっけ。
そうそう。お金に関して細かくはないけれど、なんちゅーか、自分流のこだわりがある私。自分の事は棚に上げ、自分で働いて稼いだ経験もまだないような子ども達同士が、お金の取引をするのは10円たりとも嫌なんですね。
こういうのって、ほら、古本を本屋に売ったりとか、カードゲームの希少カードを子ども同士で売買したりとか…。フツーの感覚になってきてるんでしょうかね。
いずれにしても、マイペースで、顔に出る長女と違い、要領が良く、自分に都合の悪いことは隠してしまう(あんたに似たんでしょが)のまる子ちゃん。
中学生という一番多感な時期も時期だし、よく見てやらんと、と思います。
子に見られても良い親の姿でありたいなぁ、と思います。
Sako