京のいけず日記

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2005年09月18日(日) 48歳 満月の夜に酔う

今宵は十五夜、中秋の名月でしたね。
京都では、こんな色を、薄くぼかしたような真ん丸いお月様でした。


昨年、大河見ながら描いた、らくがき絵

昨日のとある絵画教室で、
輪郭の線は描かないんですか?と聞いたら。

髪の毛ほどの細い線を筆できれいに描けるようになったらね。
まぁ。10年はかかるわね。
とにこやかに言われた。

えぇー? 10年もですか!?
相手が喜ぶような、大袈裟なリアクションをしてみたものの、
心の中はまったく反対だった。

10年経ったら…。
10年ヘタでも描き続けたら…。
日本画の手法で
好きな人の絵が描ける。  …いや。10年経っても、ヘタレは、やっぱりヘタレでしょう(笑)

不思議に10年という時間が、とっても優しく、穏やかに感じられた。

今まで、10年という単位は、途方もなく、嫌になるぐらい長かった。
10年後などと言われたら、そんな先の話など、したくもないと思った。

そして。その夜。
歴史スペシャル番組を見ていて、また妙な時間の感覚にとらわれた。

過去から遡って時代を追っていく。
2100年。逆算する。その時代に私はいない。
たった95年のちの世界に、私は存在しない。

もっとも。95年どころか明日だって分からないし。
寿命が延びて150ぐらいまでは永らえる世界になっているかもしれないが。

遠くない未来、確実に私はこの世界から居なくなっている。
ああ。そうなんだ、と思う。

悲しいとか、淋しいとか、死にたくないとか、生きててたまるか、とか、
そんな感覚とはまた違う。

今まで追いかけるばっかりの、追われるばっかりの、そんな相手に、
通りすがりにポンと肩を叩かれてしまったような、奇妙な錯覚がした。

穏やかで、静かな、確かな時間が過ぎていく。
とっても優しい顔に見えたよ。奴の顔は。



えー。…絵画教室には続きがあります。

先生。野菜シリーズの次は、人物を描きたいんですが?
やっぱり実際にデッサンしてから描くんですね?

もちろんよ。
(以下、頭の中での会話)

あのぉ。写真じゃ駄目ですか?
その人は、もう、この世にはいらっしゃらないんですが…。

あら…まぁ…。お身内の方?

は…ま…その… 好きな… ひ、ひっ… ひぃおじいちゃん!? 

言えへんぞ。


さて。11月から3ヵ月。出稼ぎ家業のスケジュール確認があった。
仁義なき2足のわらじを履いて3年目。また忙しくなるなぁ。時間と鬼ごっこだ。


Sako