京のいけず日記

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2005年06月04日(土) 通勤文庫 土方歳三秘話 赤間倭子

土方歳三秘話 著者:赤間倭子土方歳三秘話 著者:赤間倭子

新人物往来社刊 昭和53年12月10日発行 1,300円

押入れ本から出てきた懐かしい一冊。
うら若き乙女時代に読みあさった新人物往来社本。

文庫ではないけれどラッシュアワーの JR もなんのその。幸せな通勤時間を満喫しました。うふふっ。

さぞや、乗り合わせた人は気持ち悪かったかも…。



 【収録作品】 秘仏 | 月夜舟 | 落椿 | 紫の旗

◎秘仏

山南敬助が大切にしていた、因縁めく古い秘仏を軸にした作品。

女性の作家さんらしく、きめ細やかな人物描写。
反面、小説の面白さや、文章の持ち味といった点では、物足りない感もある。
セリフなど綿密に書き過ぎていて、時に退屈させるのかもしれませんね。

お、おっと。す、すみません。

面白かったのが、山南脱走のところでの土方の描写。
…商才がある時には、優しい人なつっこい微笑と、人の心をくすぐるようなお世辞ともなり、一面、その微笑の仮面の一枚下には…冷酷さと、残忍さが…。

と、いうように、けして歳三オンリーに溺れていないところ。
ここでは下手くそな鬼の念仏も踊る、九尾の狐になっています(笑)

他、山南の想い人、明里、沖田に恋する男装の女性お周、復讐心を燃やす新見錦の女などが登場しています。

赤間さんは何といっても斉藤一の研究家。
こちらは文庫で再版されていたので、昨年、確か、買って読みました。
もしかしたら、昔のが押入れにあったかもしれません。


◎月夜舟

将来に絶望しか見出せない安女郎と、歳三の一夜を描いた掌編。
秘仏より更に情感たっぷりの作品ですが、頁数が少ないので、たるみを感じない。

梅毒で脳を犯された女郎に、同じ女郎の成れの果ての姿を見てしまう女と、
豪農であっても、しょせんは部屋住みでしかない、鬱屈とした歳三。

若い頃の歳三さんなら、こんな一夜もあったのかもしれませんねぇ…。


名高い花魁に恋をして、金もないのに、うなぎ持参でせっせと郭に通ったという。
きっと妙な愛嬌があって、郭の男衆や、小女達にももてたんちゃうかなぁ。
などと、ふと思ったり…。


そうそう。まもなく読みたくてずっと探してた本が、届く…はずです。
中古本でやっと収録されている本を見つけました。

その名はイサミ…じゃなくて
「わが名はイサミ」 それも、たったの18ページ?

読みたい理由は…いや、そのぉ、…言わずもがな…です、ハイ (^_^.)
分かる人には分かるでしょう…。

著作は、あの筒井康隆さん。読んだら、また下手な感想書きますね。


それから欲しい本が出てきました。
暦の百科事典 暦の会 著 新人物往来社 9,975円!

た、高い。さすがに躊躇。手にとって見たわけじゃないし、むむむ、我慢しよ。


Sako