京のいけず日記

もくじ前の日次の日


2004年07月16日(金) 思い出のTaste

かき氷

カキ氷駄菓子屋「ヤナギハラ」の、おばちゃんが炊く黒蜜は絶品だった。ブルーのガラス器に、安っぽい金物スプーン。大きな塊の氷が、絹目のようにサラサラと器に降り積もっていく。

そろばん塾の近くにあった小学生御用達の「お好み焼き屋」のおっちゃん。彼が掻く氷の山は、いつ崩れ落ちるだろうか、と、見ている私をドキドキさせた。

「おっちゃん。イチゴとレモン、ダブルでかけてえな」
チューリップハットのようなフニャフニャの食べられる器。イチゴとレモンが混ざってメロンになる面白さ。

露天では、氷の山は暑さにすぐに溶け始める。それと競争するように口に運ぶ。

フルーツもアイスクリームも何の飾りもないけれど、ジリジリする暑さの中で、汗だくで食べる氷の味は格別だった。



子どもの頃に食べた「カキ氷」は何で、あんなに美味しかったんだろう?

冷房のガンガンに効いた店で震えながら、
お洒落で豪華なデコレーションの氷を前にしながら、いつも思う。

宵山で屋台の粗い氷の粒を舌に転がし、ストローのスプーンをしがむ。
豪華でも、使い捨てでもなかった、あの頃の味が懐かしい。

肉屋のコロッケ、ほんの指先ほどの肉がついた串しカツ。
ちくわとキャベツが少し入っただけの駄菓子屋のお好み焼き。
○辺の粉末ジュースの素。一度は当てたかった、あてもんの
「ひも付き▽形のアメ」の一番でっかいやつ…。

我が家では、年に数えるほどのすき焼きと、カレーがご馳走だった。
とんがらしとチリメンジャコのたいたん。ナスとニシンのたいたん。生節し。
ほとんど手の込んだ料理をしなかった母の、舌に残る数少ない味。

母の49日が近い。
母にも劣る、だめ親の私は子ども達にどんな味を残せるだろう?

お姉ちゃんや、まる子ちゃんが、無事に大人になった時、
この子らが思い浮かべる、思い出のTaste。

たくさん、たくさん、あるといいなぁ。 (…んじゃ。ごはん。ちゃんと作りましょう…)


Sako