京のいけず日記

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2004年01月18日(日) 恥ずかしい本


総司「土方サ〜ン。何をそんなに熱心に読んでるんですか?」

読書中、突然、声をかけられてドキリとする歳三勇「そりゃ、日本外史だろう。総司」
新八「いや、いや、きっとあの人のこった。兵書だぜ」

左之助「馬琴の南総里見八犬伝じゃねえか?ほら、何だっけな、犬塚信乃あたり…」

勇「なんだ?」
左之助「女装の美剣(犬)士!…させてみてえ。プッ」

総司「うーん。絶対ね、エロ草紙ですって。むっつり助平なんだから、あの人は。みなさん賭けますか?」

(馬鹿野郎、俳句の本だ…。←それも恥ずかしい人)



あらゆるジャンルの本も、今やネット書店で、
人知れず、匿名で、手に入れることも可能になった。

そんな時が来るとは思わなかった時代。
顔から火が出るほど、手に入れるのに恥ずかしかった本
あるいは寸前で手に入れることができなかった本

ワタシ的に恥ずかしい、そんな本たちの思い出話を少し------。

夢も希望もある懐かしの昭和30年代後半から40年代前半
貸し本屋というものがあった。

薄暗くて、狭い店内の壁いっぱいに雑多な本が並んでいる。
隅っこには小ちゃな机、そして店番のおばちゃんが座っていた。

当時の漫画といえば
貸し本から、週刊、月刊雑誌などへの過渡期(しみじみ古いなぁ…)

白土三平や、さいとうたかを、楳図かずお(へび女〜コワイ♪)、石森章太郎、小島剛夕、水木しげる、つげ義春などなど。

少女漫画なら、水野英子や、わたなべまさこ、牧美也子などが登場し、手塚治虫や、ちばてつや、などが、少女向けの漫画も描いていた。

小学生のワタシが借りる本といえば漫画の本ばかりだったが、
ある日、ふと、1冊の小説に目がとまった。

タイトルまでは忘れたが、
表紙を見ただけで、エロ、倒錯ものと分かるようなシロモノで。

薄暗い店内で盗み読みしてしまったワタシは、
胸の鼓動が聞こえるほどコーフンしつつ、
勇気を出して、おばちゃんのところへ持っていった。

何冊かの子供向けの漫画本の下にそっとしのばせて。
…早よしてえな、おばちゃん。ワタシとおばちゃんの仲やろ。

ところが、勝手に味方と思っていた、おばちゃんは、
その本を見るなり、じっとワタシを見つめた。


さらに、
じっと穴があくほど見つめた。


「…おじょうちゃんが読むの?」

店内には他にも客がいて、ふりそそぐ視線を感じた。

「あ、は、あ…いえのひ…」

「これは大人の本。おじょうちゃんの読む本やないよ」

おばちゃんはいつもの愛想笑いもせずに、冷たく言った。

たちまちワタシの顔は噴火火山。涙目のまま、店を飛び出し、
その後、その貸し本屋通いはやめた。

世の中が変わり、貸し本そのものが廃れていく中。
大人の本というものを、そして、境界線と、
罪悪感という自虐にも似た甘美な気持ちを教えてくれた、その店も、
しばらくして通りから消えてしまった。

昨年、実家から引き取ってきた、ダンボールの中の本を眺めながら、
そんなことを、ふと、思い出しています、今。

さて、さて。アナタ的「恥ずかしい本」の思い出は??

・・・いつかに続く。おやすみなさい。
※ 本屋で見てしまった「壬生の銀狼」恥ずかしくてまだ買えない・・・(T_T)


Sako