2025年02月23日(日) |
ネムルバカ、花まんま、JOIKA 美と狂気のバレリーナ |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ネムルバカ』 原作者の石黒正数が29歳の時(2008年)に書き始めた青春コミ ックスを、2021年『ベイビーわるきゅーれ』が話題となった 坂元裕吾監督が同世代の28歳で映画化した作品。 大学の女子寮で共同生活をしている2人の女子大生。1人は 大学に入ったものの将来の目標もなく、ただ日々を過ごして いる。しかしもう1人は3人の男子を従えたバンドで音楽に 打ち込み、今やメジャーデビューも夢ではない状況だ。 そんな2人だが、普段は居酒屋で酒を酌み交わし、時にはラ イヴで青春を発散し、またはバイトで面倒な客を相手にやや こしい愚痴を聞いたりもしている。そしてバイト先の店長か らは怪しげな誘いもある。 そんな女子大生の日常が描かれて行く。 出演は乃木坂46の久保史緒里と2017年3月紹介『ReLIFE リライフ』などの平祐奈。他にスーパー戦隊シリーズ「騎士 竜戦隊リューソージャー」の綱啓永、「暴太郎戦隊ドンブラ ザース」の樋口幸平。 さらにお笑いコンビ「ロングコートダディ」の兎、ロックバ ンド「the dadadadys 」の儀間陽柄、2020年『弱虫ペダル』 などの長谷川大、2023年『ゴジラ-0.1』などの高尾悠希。そ れに吉沢悠、伊能昌幸らが脇を固めている。 物語自体は何となくありものっぽい感じだが、これが青春な のだろうし。僕自身の大学生時代はもう50年以上も前のこと になるが、それでも周囲にはプロの作家を目指す仲間なども いて、そんな青春時代を懐かしむ感じもした。 それと試写状を見た時にはバンド活動という文言があって、 何となく乃木坂の久保がその役かと思っていたら、平がそっ ちという意外性も良かった。実際に平はギター演奏や歌唱も よく頑張っていたものだ。 そして彼女が歌う映画のタイトルと同名の楽曲は、その成立 の過程の話なども面白くて、それなりの名曲のようにも聞こ えてきた。そんなことも含めて巧みに作られた青春ドラマが 描かれていたものだ。 現代の青春や学生生活がどんなものかは知らないが、僕自身 にとっては懐かしさもあって、良くできた青春ドラマと感じ られた。少なくとも暴力や抗争に明け暮れるようなドラマよ りは良い。 公開は3月20日より、東京地区はTOHOシネマズ日本橋、新宿 ピカデリー、渋谷シネクイント、アップリンク吉祥寺他にて 全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ポニーキャニオンの招待で試写 を観て投稿するものです。
『花まんま』 原作者の朱川湊人が2005年の直木賞を受賞した短編集からそ の表題作を、2023年4月紹介『水は海に向かって流れる』や 2002年4月紹介『パコダテ人』などの前田哲監督で映画化し た作品。 主役は幼くして両親を亡くした兄妹。父親は妹がまだ1歳の 時に事故死し、母親は兄が高校生の時に他界した。そして兄 は、父親が残した妹を守れという言葉を胸に懸命に働き、大 学に行った妹が学者肌の男と結婚式を迎えるまでになった。 ところがそんな妹の結婚相手が訪ねてきた式の前々日。職場 にいるはずの妹が姿を消す。そして引っ越し荷物を調べた兄 は、ある幼い頃の記憶を甦らせる。それは親を心配させない ため絶対に秘密と兄妹で誓い合ったものだった。 こうして記憶をたどる兄の前に、驚愕の事実が明らかになっ て行く。 出演は鈴木亮平、有村架純。他に鈴鹿央士、ファーストサマ ーウイカ、安藤玉恵、オール阪神、オール巨人、板橋駿谷、 田村塁希、小野美音、南琴奈、馬場園梓。そして六角精児、 キムラ緑子、酒向芳らが脇を固めている。 試写状に「遠い昔にふたりで封印したはずの<秘密>」という 文言があって、実はちょっと下世話な展開も予想してしまっ た。しかし物語はある種のファンタシーというかSFと言え るものでもあって、実に見事な展開となっていたものだ。 しかもそれが、ファンタシーという点では最近の流行りに近 いものではあるが、タイトルにもなっている小道具の扱いの 上手さで試写会場では自分も含めてかなりの涙が流されるよ うな感動の作品になっていた。 それはこういう事象を事前に知っているか否かという点にも 繋がってくるが、正直に言って自分がSFファンで、この手 の出来事の存在を知っていたことにも感謝したものだ。まあ 最近はテレビ番組でも扱われる話だが。 因に原作の短編小説は主人公の子供時代だけを描いているそ うで、映画のストーリーはその最期に付記された数行を基に 膨らませたものとのこと。脚本のクレジットには北敬太とあ るが実在者ではなく、監督らが作り上げたもののようだ。 それにしても見事な映画作品が作られている。東映京都撮影 所の製作で、監督以下キャストも含めて関西ネイティヴの作 りも嵌っている作品だ。 公開は4月25日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社東映の招待で試写を観て投稿す るものです。
『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』“Joika/The American” 2012年にアメリカ人女性としては初めて世界最高峰とされる ボリショイ・バレエ団に入団したジョイ・ウーマックの実話 に基づく作品。 ウーマックはワシントンD.C.にある名門バレエ・アカデミー でロシア・バレエを学び、頭角を表して15歳でボリショイ・ アカデミーに入学を許される。そしてロシアに渡りバレエ団 への入団を目指すが、それは簡単な道程ではなかった。 そこには厳しい指導で生徒を震え上がらせる女性教官や見事 な資質を持ったライヴァルなど、様々な存在が彼女の行く手 を阻む。それでも一歩一歩進んで行く彼女の前に最大の試練 が訪れる。果たして彼女はそれを乗り切れるか? 出演は2021年スティーヴン・スピルバーグ版の『ウェストサ イド・ストーリー』に出ていたというタリア・ライダーと、 2014年6月15日付「フランス映画祭2014」で紹介『バツイチ は恋のはじまり』などのダイアン・クルーガー。 他にロシア連邦の構成国タタルスタン共和国タタル国立歌劇 場のプリンシパルで、2018年11月03日付「東京国際映画祭」 で紹介『ホワイト・クロウ』のルドルフ・ヌレエフ役を演じ たオレグ・イヴェンコ。 脚本と監督は2015年にチェスの早指しチャンピオンを描いた 『ダーク・ホース』で多数の賞に輝いたニュージーランド出 身のジェームス・ネピア・ロバートスン。実在の人物を描く ことに長けた監督がまたしても名作を生み出したものだ。 そして監督はウーマック本人にも協力を仰ぎ劇中演じられる バレエシーンの振り付け、さらには主人公のバレエシーンの 吹き替えも演じさせている。またナタリア・オシポワらバレ エ界のレジェンドも本人役で登場するという作品だ。 タイトルの「ジョイカ」は女性教官が主人公を呼ぶときの発 音だが、他の人物らは「ジョイ」と呼び掛けている。ここで 語尾の「カ」はロシア語では「・・ちゃん」というようなも ので、そういう意味合いで使われているものだ。 因にこの「カ」の意味は1970年の「国際SFシンポジウム」 で来日したロシア人通訳に聞いたものだが、酒のウォッカが 「水ちゃん」だと聞かされた翻訳家の矢野徹氏が「ロシア人 の酒の強さが判る」と感心していたのを思い出した。 本作にもそんな酒のシーンは描かれていた。 公開は4月25日より、東京地区はTOHOシネマズシャンテ他に て全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ショウゲートの招待で試写を観 て投稿するものです。
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