2025年01月12日(日) |
Underground アンダーグラウンド |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『Underground アンダーグラウンド』 2017年8月27日付題名紹介『鉱 ARAGANE』、2020年『セノー テ』などの小田香監督が3部作の最終章と位置付ける作品。 因に2020年作は試写鑑賞の予定を組んでいたがCOVID-19禍で 鑑賞が叶わなかったものだ。 3部作の第1作はボスニア・ヘルツェゴビナの炭鉱を描き、 第2作ではメキシコユカタン半島の天然の洞窟を描いていた ようだが、第3作の本作では日本各地の天然や人工の地下が 描かれ、そこには現在の日本が反映されているものだ。 そして本作では、前作がドキュメンタリーのような作風であ ったのに対して、監督自身が初めての試みという演者による パフォーマンスも織り込まれる。それは全体としては物語を 構成しているということだが。 出演は、監督作品で文化庁メディア芸術祭エンターテインメ ント部門新人賞受賞や米津玄師のミュージックヴィデオなど も手掛ける映画作家・ダンサーの吉開菜央。他に松永光雄、 松尾英雅らが登場する。 映画は大都市の下水道のような構造物の映像に始まり、地下 鉄や鍾乳洞での様々なプロジェクションのような映像も提示 されるが、それらがある意味収斂するように沖縄戦でのガマ と呼ばれる洞窟に繋がって行く。 それは日本人にとっては忘れてはいけない事のようにも思え るが、学校教育ではタブーであるかのように全く無視され、 日本の歴史上ではなかったことのようにされている悲劇の物 語だ。 幸い僕自身は過去に観たドキュメンタリーなどで聞き及んで いたが、現代の人が知らずに見たら驚愕するような物語かも 知れない。そんな日本人が知っておくべきことが語られてい る作品でもある。 ただしそれが本作の全体としてしっくりと収まっているかと いうと多少悩むところでもあって、正直にはバランスを崩し てしまっているようにも感じる。でも決然としてそれを描い たことには監督に称賛を贈りたい。 そしてその後に続くダム湖の映像には、別の悲劇の存在も感 じられて、全体が日本の悲劇を描いた作品として日本人の全 員が観て記憶に留めて置くべき映画と言えるだろう。見事な 作品だ。 公開は3月1日より、東京地区は渋谷ユーロスペース他にて 全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社スリーピンの招待で試写を観て 投稿するものです。 * * 明けましておめでとうございます。 今年もこんな調子でやっていきますので、よろしくお願い いたします。
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