2024年02月18日(日) |
プリシラ、ナチ刑法175条 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『プリシラ』“Priscilla” 1977年に他界したエルヴィス・プレスリーと1973年まで結婚 していたプリシラの姿を、1985年にプリシラが発表した回想 録に基づき、2006年12月紹介『マリー・アントワネット』な どのソフィア・コッポラ脚本・監督で描いた作品。 出会いは1959年。実父を戦争で亡くし継父の任地西ドイツで 暮らしていた14歳のプリシラは、兵役で当地に赴任していた エルヴィスの宿舎のパーティーに誘われる。そして出会った 2人には最初から互いに惹かれるものがあったようだ。 しかもその兵役の前に実母を亡くしていたエルヴィスは彼女 にその悲しみの心の内を打ち明ける。こうして共に親族を亡 くした経験を持つ2人は急速に距離を縮めるが、エルヴィス は兵役を終えて帰国してしまう。 それから2年後、エルヴィスから突然掛かってきた電話は、 プリシラに出来るだけ早く自分の許に来て欲しいというもの だった。そしてエルヴィスは彼女の両親に必ず学校は卒業さ せると誓い。メンフィスでのプリシラの生活が始まる。 こうして始まったエルヴィスとプリシラの10数年に及ぶ生活 が描かれる。しかしそれは全てが順調と言い切れるるもので はなかった。 出演は、2018年に全米タレントサーチで優勝し、同年『パシ フィック・リム:アップライジング』などに出演。本作では 2023年ヴェネツィア国際映画祭最優秀女優賞「ヴォルピ杯」 に輝いたケイリー・スピーニー。 相手役に多くのテレビドラマや配信ドラマに出演のジェイコ ブ・エロルディ。他に多くのドラマに出演のダグマーラ・ド ミンスク。さらにアリ・コーエン、ティム・ポストらが脇を 固めている。 自分の年代の洋楽好きにとってエルヴィス・プレスリーは正 しく音楽を通しての英雄だったから、彼が私生活でどんな暮 らしをしていたかなどは全く気にもしていなかったが、本作 を観て改めてその厳しさなども知ったものだ。 とは言えプリシラとの関係では、互いに甘えなどもあったの かもしれないが、何とも言えない想いのすれ違いなどが心に 突き刺さる。僕自身の妻が8歳年下なもので、エルヴィスが 感じていたであろう想いには正に共感もしてしまった。 ただし映画はプリシラの視点だから、それは明白には描かれ ないものだが…。 それにしてもスクリーンに描かれるプリシラの可愛いこと。 元々監督は『マリー・アントワネット』でもキルスティン・ ダンストを見事に可愛く撮っていたが、本作で50年、60年代 ファッションに身を包んだプリシラの姿にはエルヴィスなら ずとも骨抜きになる想いがした。 公開は4月12日より、東京地区はTOHOシネマズ・シャンテ他 にて全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ギャガ株式会社の招待で試写を 観て投稿するものです。
『ナチ刑法175条』“Paragraph 175” 1985年にゲイの活動家を描いた長編ドキュメンタリー『ハー ヴェイ・ミルク』でオスカー受賞のロブ・エプスタインが、 同作でコンサルティングを担当のジェフリー・フリードマン との共同監督で1999年に発表したドキュメンタリー作品。 邦題には「ナチ刑法」とあるが、同性愛を禁じるこの法律は 元々は1871年から存在していた。しかしナチス以前のワイマ ール共和国時代のドイツは、むしろ「同性愛者の天国」とさ れ「黄金の20年代」とも呼ばれる時代だった。 この作品では、そんな時代を謳歌して後のナチスによる粛清 でどん底に落とされた人々の生の証言が綴られている。それ は今の時代には想像もつかない、正に悲劇と言える過酷な証 言の数々だ。 とは言うものの、このナチスによって厳格化された法律は、 第2次大戦後の東西分裂で自由主義国家になった西ドイツで も1994年まで存続し戦後にも多く逮捕者がいる。むしろ東ド イツの方が先んじて1989年に廃止されているものだ。 そしてこの作品は1996年に制作開始されたということだが、 遅きに失したというか、ナチス政権下で同法によって逮捕さ れ収容所に送られた 1.5万人ともされる人々で、制作時に生 存が確認されたのは12人しかいなかったというものだ。 この手の証言系のドキュメンタリー制作は多くが時間との競 争になるが、本作の場合はさらに法律を含めた社会情勢がそ の妨げになっている。因に現時点では証言者の多分全員が亡 くなっており、最早得ることのできない貴重なものだ。 そんな貴重な証言が詰まった作品だが、同時にそれは現代社 会への警鐘になっているとも感じる。いつまた同じ社会情勢 になるかもしれない。そんな恐ろしさも感じさせる作品だっ た。 正しくマイノリティである彼らの生き様や発言を記録して後 世に残す。それも映画の重要な役割なのだ。 なお映画に登場するインタヴュアーは、2018年に「ホロコー スト・ジェノサイド・人類犯罪委員会」の委員長を務めたク ラウス・ミューラー。ナレーションはゲイをカミングアウト している英国俳優ルパート・エヴェレットが務めている。 公開は3月23日より、東京地区は新宿K's cinema他にて全国 順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社パンドラの招待で試写を観て投 稿するものです。
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