2023年11月26日(日) |
沖縄狂想曲、シャクラ、ファイアバード |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『沖縄狂想曲』 2018年4月29日付題名紹介『明日にかける橋』などの太田隆 文監督が、2020年『ドキュメンタリー沖縄戦』、2022年『乙 女たちの沖縄戦』に続けて沖縄が抱える諸々の問題を描いた ドキュメンタリー。 作品は、太平洋戦争において沖縄は捨て石だったという見解 に始まり、日本の米軍基地の7割が沖縄県に集中している事 実や、大田昌秀元沖縄県知事の沖縄を平和の礎にするという 構想、さらには辺野古新基地問題などが描かれる。 その間には米軍兵士による犯罪や、コザ暴動、国際大学への 米軍ヘリコプターの墜落など、正しく沖縄県民が味わってき た痛み苦しみがこれでもかという感じで描き尽くされている 作品だ。 それらを有識者や元新聞の論説委員、大学教諭、元市長、元 県庁職員らが徹底解説し、さらには鳩山由紀夫元総理大臣が 在任中に成し得なかった基地県外移設への悔恨インタヴュー など、様々な角度から論じて行く。 そしてその陰に見え隠れする日米合同委員会の存在への言及 などもなされているものだ。 スタッフは企画・構成・監督:太田隆文、製作総指揮:鯛中 淳、撮影・編集:三木本久城、企画:岩下秀雄、インタヴュ ー:永田よしのり、太田隆文、語り:斉藤とも子、久場寿幸 などとなっている。 映画では沖縄の苦難が実に様々な角度から提示され、沖縄が 置かれている状況などが判り易く紹介されている。それが本 土の人間が考える以上の苦難であることも如実に理解できる 作品だ。 ただその幅が広すぎて、僕自身は過去にこの種の作品も観て きた経験の中で理解はできたつもりでいるが、果たしてそれ が全てを理解したかというと疑問が残る。それくらいに奥深 いものがあるような気もしてきた。 そうしてみるともっと深く掘り下げて欲しかった気もしてし まうもので、幅広く捉えようとしたことでそれぞれの掘り下 げが充分に行われているのかという点に疑問が生じてしまう 部分はあった。 出来るなら辺野古、オスプレイ、さらには日米合同委員会に ついて、もっと掘り下げた作品をそれぞれ制作して欲しい。 そんな風にも感じてしまう作品だった。 公開は2024年2月3日より、東京地区は新宿K's cinema他に て全国順次ロードショウとなる。
『シャクラ』“天龍八部之喬峯傳” 2020年3月8日付題名紹介などの『イップ・マン』シリーズ や、2023年6月紹介『ジョン・ウィック:コンセクエンス』 などに出演のドニー・イェンが製作・監督・主演を務め、中 華映画のお家芸とも言える武侠映画に挑んだ作品。 中国北宋の元号で元佑年間(西暦1086−1094年)。当時の宗は 契丹、西夏などの外敵に囲まれ、国内も混乱の中にあった。 そんな中で、喬夫妻は家の前に置き去りにされた赤子に喬峯 と名付け我が子のように育て上げた。 その喬峯はやがて少林寺で修行を積み、武芸者として頭角を 現す。そして武術集団・丐幇の首領格にもなっていた。そん な喬峯が奸計によって集団を追われることになり、さらに養 父母殺しや師匠殺しの濡れ衣も着せられる。 しかしその窮地は1人の女性武術家の出現によって脱するの だが…。 共演は、1992年四川省生まれで古装ドラマ(時代劇)や武侠ド ラマにも多く出演のチェン・ユーチー。1989年湖南省生まれ で2006年11月9日付「東京国際映画祭」で紹介『十三の桐』 などのリウ・ヤースー。『イップ・マン』シリーズの最終話 に出演のウー・ユエ。 他に2006年9月紹介『エレクション』などのチョン・シウフ ァイ、2007年ミス香港コンテストで準優勝のグレース・ウォ ン、2010年9月紹介『ラスト・ソルジャー』などのドー・ユ ーミンらが脇を固めている。 そして本作のアクション監督は、奈良県出身で1993年に香港 に渡り、香港動作特技演員公會メムバーとなって2012年6月 紹介『るろうに剣心』などのアクション監督も務めた谷垣健 治が担当している。 谷垣アクション監督は元々ドニー・イェンの映画にスタント マンとして共演していたものだが、本作を観ると拳法と同時 にチャンバラの要素も感じられ、特に『るろうに剣心』の面 影は強く感じられた。それも起用の狙いなのだろう。 チャンバラと拳法の融合。これは新たな武闘アクションの地 平を開くような感じもするものだった。 因に金庸の原作『天龍八部』は4人の英雄からなる物語だそ うで、本作はその内の1人について纏められたもの。しかも 本作に登場する喬峯は後に改名するとあるから、これは続編 も期待できるかな? 公開は2024年1月5日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷 他にて全国ロードショウとなる。
『ファイアバード』“Firebird” ペット・ショップ・ボーイズのMTVなどでも知られるエス トニア出身の映像作家ペーテル・レバネが共同脚本と監督を 担当し、2015年8月紹介『キングスマン:シークレットサー ビス』などに出演の俳優トム・プライヤーが共同脚本と主演 を務めた1970年代ソビエト連邦下が背景の人間ドラマ。 舞台はエストニアのソ連軍空軍基地。主人公はその基地に所 属する若い二等兵。その基地には核兵器などの配備もされて いるようだが、彼自身は基地司令官の秘書の女性や同期兵と それなりの青春を楽しんでいた。 そんな主人公の前にエースパイロットの将校が配属されてく る。その将校に会った瞬間、彼の心には閃光のようなきらめ きが押し寄せていた。そして2人は写真という共通の趣味を 持っていたことで徐々に接近して行ったが…。 当時のソビエトで同性愛は、法律によって厳格に禁止される 犯罪行為だった。そしてその基地の司令部には、将校の足元 を狙うソ連国家保安委員会(KGB)の影もあった。 共演はモスクワのゴーリキー・センターに所属するウクライ ナ人俳優のオレグ・ザゴロドニイと、シャネルのグローバル ・ブランド・アンバサダーも務めるロシア人女優のダイアナ ・ボザルスカヤ。 他に2018年6月17日付題名紹介『スターリンの葬送狂騒曲』 などのニコラス・ウッドソンらが脇を固めている。 原作は、旧ソ連やロシアで40本以上の映画やドラマに出演し ていたという俳優セルゲイ・フェティソフがセルゲイ・ニジ ニーというペンネームで発表した書籍とされているが、劇中 でも主人公は俳優を目指しており、この物語は俳優の実話に 基づいているようだ。 それはかなり数奇な物語のようにも見えるが、情勢からみれ ば当然のことなのかな。間に入った女性が振り回されている ようにも見えるが、同様の展開は他の作品でもあったような 気もする。真に振り回されたのは主人公の方なのだろう。 同性愛の性癖は日本の芸能界も揺るがせているところだが、 それを犯罪と決めつけるところは、日本もソ連と変わらない のだとも思ってしまう。因にソ連崩壊後は、この法律は一旦 無くなったが、今またロシアで復活しているそうだ。 公開は2024年2月9日より、東京地区は新宿ピカデリー他に て全国ロードショウとなる。
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