※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページは、SF/ファンタシー系の作品を中心に、※ ※僕が気になった映画の情報を掲載しています。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 最初に突然ですが、今回を持ちまして製作ニュースの更新 を終了させていただきたいと思います。元々このページは、 2001年にキネマ旬報に連載していたニュース欄のレイアウト が変更されて掲載できるニュース量が減ったのを機に、掲載 漏れとなるニュースを紹介する目的でスタートしたものでし た。しかし、そのニュース欄の連載も昨年打ち切りとなり、 本来の目的が無くなっていました。 それに昨年来、試写で観る映画の本数が急増し、その紹介 を書くだけで手一杯となってしまったものです。それでも何 とか半年ほどは頑張らしていただきましたが、個人的な状況 の変化などもあり、ここらで終止符を打つことにしました。 とは言うものの情報の収集は止めませんし、映画紹介のペー ジは毎週更新の予定ですので、作品が少ないときなどには製 作ニュースの情報も載せたいと思っています。 今後もご愛読をよろしくお願いいたします。 * * と言うことで、製作ニュースとしては最後の更新となる今 回は、いろいろな話題を出来るだけ紹介することにしよう。 まずはちょっと気の早い続編の情報で、5月8日に全米公 開される新映画版“Star Trek”に関連して、シリーズの再 構築を目指すパラマウントから続編の製作に向けた脚本家と の契約を進めていることが発表された。 発表された脚本家は5月公開の新映画版の脚本を担当した ロベルト・オーチ、アレックス・カーツマン、それに製作を 担当したダモン・リンダロフ。因にリンダロフは、新映画版 の脚本には加わっていないが、元々監督を務めたJ・J・エ イブラムスと共にTVシリーズ“Lost”の製作と脚本を担当 したことでも知られており、今回は新映画版の試写を観て、 「これは絶対続きを作るべきだ」と確信、直ちに脚本家たち との協議に入ったとのことだ。また、3人はすでにドリーム ワークスが進めている“Cowboys and Aliens”の脚本もトリ オで手掛けている。 その脚本家トリオと映画会社との契約が進められているも のだが、脚本の進捗状況は、まだほんの胚芽状態とのこと。 しかし、脚本家トリオとしては今年クリスマスまでに完成し て会社側に提出する計画で、それにより続編の公開は2011年 夏を目指すとのことだ。ただし、それも5月公開の新映画版 の目指した方向性がトレッキーの心を掴めるか否かに掛って いる部分は大きいもので、観客の反応を観た上で全てが決定 されることになりそうだ。 一方、新映画版の製作監督を務めたエイブラムスは、製作 者としての参加は表明しているものの、再度監督を手掛ける か否かは未定としている。多分これも5月の結果及び続編の 脚本の出来次第ということになるのだろう。 因に、アメリカパラマウント社が“Star Trek”に賭ける 意気込みはかなり強力なものだそうで、すでに全米では公開 6カ月前の昨年秋から最大級のキャンペーンを展開中。日本 にいるとそんな熱気は全く伝わってこないが、大型シリーズ の再構築に向けて体制は万全のようだ。 * * シリーズの次は3部作の話題で、『第2章/カスピアン王 子の角笛』までは公開したものの、以後に製作される『ナル ニア国物語』シリーズの配給からは手を引くことを表明した ディズニーが、新たに“The Stoneheart Trilogy”と題され た原作の映画化権を獲得したことを発表した。 この作品は、1995年の『フェア・ゲーム』や2002年8月に 紹介したイギリス映画『ミーン・マシーン』などを担当した 脚本家のチャーリー・フレッチャーが2006年に作家に転向。 その第1作として発表した“Stoneheart”と、2007年発表の “Iron Hand”、それに今月発表される“Silvertongue”か らなる3部作とのことで、因に、第1作の“Stoneheart”は イギリスの児童文学賞の候補にも挙げられるなど、相当の評 価を受けているようだ。 物語は、現代のロンドンに住む12歳の少年を主人公にした ちょっとだけ違う世界での冒険を描いている。その世界では 石像が命を持ち、少年が起こしたある出来事を切っ掛けに、 彼らが行動を起こし始めたのだ。そんな世界で少年は、協力 者を得ながら石像たちが動き出した原因を探り、その出来事 の裏に潜む謎を解き明かして行くことになる。評論家の評価 は様々なようだが、全体的には内容の新しさとスリリングな 展開の面白さが評価されているようで、さすがに脚本家出身 の作家という感じのものだ。 そしてこの第1作の映画化権に関しては、その出版以前か らパラマウントが獲得したとされていたものだが、その3年 間の期限が切れてしまったようで、新たにディズニーが権利 を獲得したとのことだ。そのディズニーは、ロバート・ゼメ キス主宰のImageMoversと共同で権利獲得の交渉を行ったも ので、両社ではモーション・キャプチャーによる映画化を目 指すことになる。それにしても動く石像というアイデアは、 正にモーション・キャプチャーそのものという感じだ。 公開時期は未発表だが、ディズニー+モーション・キャプ チャーは即3Dという図式も決っているようで、早い時期の 製作を期待したいものだ。 * * ところでディズニー+モーション・キャプチャーの計画で は、先にティム・バートン監督の“Alice in Wonderland” の全米公開日が2010年3月5日と発表されているものだが、 その際には、全米のIMAXシアターでも同時公開されることが 報告された。 これは、2008年11月19日に報告されたディズニーとIMAX社 の共同事業の一環として行われるもので、この事業ではディ ズニー製作の5作品をIMAX-3Dで同時公開することが謳われ ていた。そして、その第1作となる“The Jonas Brothers: The 3-D Concert Experience”が2月27日に全米公開された ところのものだ。 さらにその第2作には、当初は第1作になると見られてい た年末公開予定のゼメキス監督作品“A Christmas Carol” が決定されており、今回報告の“Alice in Wonderland”は 第3弾となる。この他“Beauty and the Beast 3-D”のIMAX 上映も計画されているはずで、ここまでですでに4作品。そ の最後が上記の“Stoneheart”だと、3部作の第1話までと いうことになってしまうが、さてどうなのだろうか。 なお、日本のIMAX状況としては、昨年8月1日付第164回 でも紹介したように東急系の109シネマズが新たな展開を 計画しているものだが、その計画は当初の発表より少し遅れ て、今年の夏に神奈川県川崎市と埼玉県菖蒲町に開館となる ようだ。そしてこの計画では、IMAX社が直接運営にも関わる ようなので、ディズニーとの共同事業である上記の作品は正 に優先上映の対象となるものと思えるが… 一方、3D映画に関しては、以前にも書いたと思うが、視 野中にスクリーンの枠が入ると3D感が一気に減少してしま うもの。その点でスクリーンが視野一杯に広がるIMAXは正に 理想的な上映システムで、しかも上下にも広がりのある本来 のIMAX作品なら究極の3Dが楽しめる。そしてモーション・ キャプチャーの作品は、基本的にCGIアニメーションとな るものだから上下の広がりにも対応可能なもの。出来るだけ IMAXサイズに合わせた作品を期待したいものだ。 そんなことも含めて、今後のディズニー3D作品にはます ます期待したいところだ。 * * 今年2月1日付第176回で“He-Man”の計画を紹介した玩 具メーカーマテル社の男の子向けアクション人形で、1966年 に発表された“Major Matt Mason”の映画化がユニヴァーサ ルで計画されている。 この人形の職業は宇宙飛行士。軌道上の宇宙ステーション に暮らし、月面探査を行うチームのリーダーという設定だ。 そしてこの人形シリーズは、1969年のアポロ11号による月面 着陸の前後には最大級のヒットを記録し一世を風靡したもの だが、アポロ計画が終焉に向かった1970年代に引退、玩具の ラインアップから姿を消してしまっていた。 その宇宙飛行士人形の活躍を再び描くというもので、その 計画に、1995年の『アポロ13』では月面にあと1歩まで迫っ たトム・ハンクスが主演。さらに脚本には、1998年ハンクス 製作総指揮のミニシリーズ“From the Earth to the Moon” にも協力した『スピード』(1994年)などのグラハム・ヨス トの契約が発表されている。因にこの計画は、マテル社側か らハンクス主宰のPlaytoneに齎されたものだが、その会合の 席でハンクス自身が主演を希望したとのことだ。 お話は上記の主人公の設定からも明らかなように、完全に フィクションのものだが、ハンクス主演となれば宇宙開発を 描いた上記の2作品のイメージに繋がることは必至で、彼が 繰り広げる月面探査の物語は、現状では月面の再探査などに も進捗の見られない宇宙開発に対して、期待を込めた夢を語 ることにもなりそうだ。前記の2作品を手掛けたハンクスは NASAの関係者にも知人は多そうだし、そんな人たちの後 押しもあるのかも知れない。 最近の出演作は、大体年1本となっているハンクスだが、 2009年“Angels & Demons”の公開後の予定は、“Toy Story 3”の声優を除くと、実写の出演はバリー・レヴィンスン監 督の“Boone's Lick”という西部劇が、2010年公開見込みで プレプロダクション段階になっているだけで、具体的なスケ ジュールは空白。今回の計画は、できることなら2011年の公 開ぐらいで実現してもらいたいものだ。 * * またまた3部作の話題で、『トワイライト』シリーズや、 『パニッシャー:ウォー・ゾーン』なども手掛けるライオン ズゲートから、昨年秋に出版されたスサンネ・コリンズ原作 の未来小説“The Hunger Games”の映画化権を獲得したこと が発表された。 物語は、生放送のテレビ番組で命を賭けて闘う10代の少年 少女たちが、その社会のシンボルとして敬われている未来世 界を描いたもの…とのこと。生命を賭けた闘いをテレビで生 中継するというお話は、『華麗なる殺人』から『ローラー・ ボール』『デス・レース』まで枚挙にいとまがないが、特に 最近のアメリカでは、各種のリアリティ・ショウの人気など で注目を浴びそうな題材というところだ。 そしてこの原作本は、ニューヨーク・タイムズのベストセ ラーリストに25週連続でランクインを果たした他、『トワイ ライト』の原作者ステファニー・メイヤーが絶賛したとも伝 えられている。またこの原作は、3部作の第1巻を成してい るとのことで、今年9月には第2巻の“Catching Fire”の 刊行が予定されているそうだ。 その映画化権をライオンズゲートが獲得したものだが、さ らに同社では、ジェリー・ブラッカイマーの許で“POTC: At World's End”や“Deja Vu”の製作に携わったニーナ・ヤコ ブスンが設立したプロダクションをパートナーに据えて、新 たなシリーズ化に向けて計画を進めるということだ。 10代の少年少女が主人公というのは、時間の掛る映画製作 ではキャストの選定から慎重に行う必要があるが、本格的な 未来物ということでは期待も湧くし、楽しみに待ちたい作品 だ。 * * 以下は続報で、2003年10月15日付第49回で紹介したボビー &ピーター・ファレリー兄弟監督“The Three Stooges”の 映画化が、ソニー傘下のMGMで進められると発表された。 しかもその配役に、ラリー=ショーン・ペン、カーリー= ジム・キャリー、そしてモー=ベニチオ・デル・トロという 飛んでもない発表がされている。 因にこの計画では、当初、監督兄弟はオリジナルの短編映 画が作られたコロムビアでの製作を試みたが合意に至らず、 その後の以前紹介の当時はワーナーでの製作準備が進められ ていた。しかしそれも頓挫してしまったようで、このため今 回の製作を行うMGMでは、まずワーナーが所有していた脚 本の回収と、コメディアンの権利を所有する遺族との交渉を 行って、映画化の実現に漕ぎ着けたとのことだ。 そして上記の配役が発表されたものだが、この内ではキャ リーと、デル・トロのコメディは理解できるものの、ペンは 1989年の『俺たちは天使じゃない』以来となるコメディへの 再挑戦とのこと。その決断は相当のことだと思えるが、それ を実現した元祖The Three Stoogesの魅力と、監督兄弟の実 力にも感心するところだ。 一方、今回の作品は、以前の紹介のときにも書いたように 3人のコメディアンの伝記を描くのではなく、当時の過激な コメディを現代の3人の演技で再現しようというもの。その ため3人にはまず体型から似せることが要求されるが、特に キャリーの肉体的改造レヴェルは相当のものになりそうで、 その役作りのためにキャリーは、すでに40ポンド(約18kg) の体重増量を計画中とのことだ。 The Three Stooges(3ばか大将)の短編作品は1934年に 第1作が発表されて以来、約190本の作品が製作されたとの ことで、その中からの選りすぐりのコメディが3人の演技で 再現されることになりそうだ。撮影は今年の初秋に開始の予 定で、公開は2010年中に行う計画となっている。 * * 2008年11月15日付第171回で紹介したエレクトロニック・ アーツ(EA)社のヴィデオゲーム“Dante's Inferno”の 映画化について、その脚本を『スーパーマン・リターンズ』 などの共同脚本を手掛けたダン・ハリスと契約したことが、 昨秋、争奪戦の末に映画化権を獲得したユニヴァーサルから 発表された。 この作品については、以前の紹介の当時はまだ題名も明確 ではなかったものだが、結局この題名に落ち着いたようだ。 そしてゲームは、Xbox 360及びPS-3向けには来年の発売予定 とされており、映画化もその時期からあまりずれないように 行われることになっている。 具体的な物語や展開は、ゲーム発売前なので詳細は不明だ が、ダンテ『神曲』の内の『地獄篇』に基づくことは確かな ようで、ゲームのプレーヤーは、真の恋人ベアトリーチェを 求めて地獄の奥底を彷徨うことになるようだ。そして映画化 を進めるに当っては、ゲームのクリエーターのジョナサン・ ナイトが全面協力することも発表されていて、つまり映画の 物語はゲームとほぼ一体のものになるようだ。 ゲームをしない者にとってそれがどういう意味になるのか はよく判らないが、映画は映画の単体として楽しめるものに ならなくてはいけない訳で、ハリスにはその辺をしっかりと 見極めて脚本の執筆を進めてもらいたいものだ。 という映画化の計画だが、その一方でEA社では、2008年 “Space Chimps”などの作品を手掛けたスターツ・メディア との共同製作による同じゲームからのアニメーションの計画 も発表している。こちらの製作は、主にテレビアニメなどを 手掛ける脚本家や監督が中心になっているようだが、ゲーム を構成する9つのサイクルからそれぞれスピンオフされた物 語によるオムニバスとなるようで、映画版とは異なる展開と なりそうだ。 1308年とされる『地獄篇』の成立からはちょうど700年が 経過しているが、ゲームや映画やアニメーションなど、この 展開ぶりを見たらダンテ本人は一体何と言うのだろうか。 * * 2007年7月1日付第138回で紹介したツイステッド・ピク チャーズによるRKO映画のリメイクについて、その第1弾 となる“I Walked With a Zombie”の映画化を、1993年公開 “Jason Gose to Hell: The Final Friday”などを手掛けた アダム・マーカス監督で進めることが発表された。 物語は、アメリカ南部ニューオリンズを舞台に、そこに建 つ古い商家の屋敷に家庭教師として雇われた主人公が、その 家の家族に隠された恐ろしい秘密を発見する…というもの。 1943年に公開されたオリジナルは、ゾンビ物の嚆矢となる作 品とも呼ばれ、数あるRKOホラーの中でも最も重要な作品 とされているものだ。 その監督に起用されるマーカスは、上記のデビュー作以来 4作目という寡作の人だが、昨年にはヴァル・キルマーを主 演に迎えて“Conspiracy”(邦題:ゴッド・ランド)という 作品を約10年振りに撮ったところで、今回の起用に当っては その際の共同脚本を手掛けたデブラ・サリヴァンも一緒に招 かれている。基本的にはB級アクションの監督と思うが、デ ビュー作ではマニアックな評価も高かったようで、本作では その面の期待も持たれているようだ。 なお、今回の発表に際しては、以前の報告では挙がってい なかった4本目のリメイク作品の題名も報告され、その作品 が1939年製作の“Five Came Back”になると発表された。オ リジナルは、アマゾンの密林に不時着した旅客機の生存者た ちが、ジャングルの危険や現地人の襲撃などと闘いながら機 体を修理し、生還するまでを描いたサヴァイヴァ物で、後の 大女優ルシル・ボールの出演作としても有名なものだ。 この他には、以前のときに紹介した1945年製作“The Body Snatchers”と、1946年製作“Bedlam”が予定されているも のだが、まずは第1弾の“I Walked With a Zombie”がどう なるか注目したい。 * * ドウェイン・ジョンスン主演の新作SF“Race to Witch Mountain”が好評のアンディ・フィックマン監督が、2007年 8月15日付第141回で紹介したハナ=バーベラ・アニメーシ ョン原作による実写版“Jonny Quest”を進めていることが 報告された。 ワーナーで進められているこの計画は、『ハイスクール・ ミュージカル』のザック・エフロンが主演を希望しているこ とでも期待されていたものだが、その計画に新たにフィック マン監督とジョンスンの共演が加わり、数年間の停滞が一気 に解消されそうだとのことだ。 物語は、科学者の父親と共に世界を旅する主人公ジョニー ・クェストが、インド人の義兄弟や愛犬のブルドッグと一緒 になって科学的な神秘の謎に挑んで行くというもの。オリジ ナルのシリーズは1964年に1シーズンだけ放送されたものだ が、その後の1980年代と90年代にもリメイクが行われた。 その作品にエフロンの主演となるものだが、実はそこに準 備された脚本を読んだジョンスンが、「こんな、信じられな いようなアクションを描いた脚本には今まで出会ったことが ない。こんなことができるんだ…」と絶賛したとのことで、 直ちにジョンスンが共演を希望し、フィックマン監督を巻き 込んでの計画が進められているようだ。 まだワーナー側の正式発表は出ていないが、この顔ぶれが 揃ったら…これは実現を目指して貰うしかないものだろう。 ハナ=バーベラ・アニメーション原作による実写版は、企画 ばかりでなかなか実現に至らないが、今度こそは何とかして 欲しいと思ってしまう。 ただしフィックマン監督には、この他にもパラマウントで サラ・ミロノウスキー原作のヤング・アダルト小説“Gimme a Call”(噴水に落とした携帯電話が、過去の自分に繋がっ てしまう)や、ディズニーでグラフィックノヴェルが原作の ファミリー・アドヴェンチャー“Monster Attack Network” などの企画が目白押しとなっており、どの作品が先になるか はまだ決まっていない。 どの作品も面白そうで、取り敢えずはヒット作を手掛けた ディズニーでの計画が優先されそうだが、何でもいいから早 く実現して、次々映画化して行って貰いたいものだ。
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