2003年03月03日(月) |
コーリング、アナライズ・ユー、ブラック・ダイヤモンド、ハムバット〜蝙蝠男の復讐〜 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介します。 ※ ※一部はアルク社のメールマガジンにも転載してもらって※ ※いますので、併せてご覧ください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『コーリング』“Dragonfly” ケヴィン・コスナー主演のスーパーナチュラル・ムーヴィ。 シカゴの小児病院で、ERに勤務するジョーと、ガン病棟に 勤務するエミリーの医師夫妻は、最強と言われたコンビだっ た。しかし、赤十字の要請でヴェネズエラの奥地の村に赴い たエミリーは、雨季の突然の増水に巻き込まれ、帰らぬ人と なってしまう。 そして遺体の無いまま葬儀の日、ジョーは悲しみを紛らわす ようにエミリーの勤務していたガン病棟を訪ねるが、そこで 彼の目の前で心停止から甦った少年の口から、臨死体験の中 でエミリーに逢い、そこでジョーを呼んでいたという話を聞 かされる。 さらにジョーは、同じ話を昏睡状態で運び込まれた別の子供 からも聞かされる。しかも彼らは共通に、ジョーがゼリーで できた十字架と呼んだ謎の図形を描いてみせる。そしてその 図形は、エミリーが可愛がっていたオウムによっても描かれ る。 エミリーはジョーに何かを伝えたがっている。しかし、その 思いが高じて病院内で問題を起こしたジョーは、子供たちに 会う術を失ってしまう。果たしてエミリーが伝えたがってい ることとは何か、ジョーに残された手掛かりは謎の図形しか なかった。 『フィールド・オブ・ドリームス』ではシューレス・ジョー の声を聞いてコーン畑にグラウンドを作ってしまったコスナ ーが、今度は亡き妻の声ということで、亡霊と現世の関わり を描いたお話はいろいろあるが、それに2回も主演するとい うのは珍しいことだ。 お話自体は悪くないし、結末もなるほどと思わせるところは ある。コスナーファンには良いプレゼントと言うところだろ う。 なおエミリー役を、『スター・トレック/ヴォイジャー』に ボーグ・クィーン役で出演していたスザンナ・トンプスンが 演じている。 『アナライズ・ユー』“Analyze That” 99年公開の『アナライズ・ミー』“Analyze This”の続編。 今回もまた、ビリー・クリスタル演じる精神分析医が、ロバ ート・デ=ニーロ演じるマフィアのボスに振り回される。 マフィアのボスは服役中。しかし街の抗争は刑務所の中にも 影響し、ボスは命を狙われることに。そこで一計を案じたボ スは、昔馴染みの精神分析医を利用して精神異常を装い、首 尾よく仮出所となるのだが…。 それは彼を出所させることで、マフィアの抗争を激化させよ うというFBIの思惑に乗せられたものだった。しかしボス は、マフィアもののテレビシリーズの監督を利用して撮影所 に乗り込み、そこでとんでもない計画を立て始めた。 前作は全米で大ヒットを記録したものだが、さすがに二番煎 じでは厳しいものがある。デ=ニーロが、『ウェストサイド 物語』の楽曲を次々に歌い上げるシーンは、アメリカでは大 受けだろうが、日本の観客はどう反応するか。僕は、エンデ ィングでは思わず一緒に口ずさんでしまったが。 とは言え、9/11後のニューヨークで大々的なロケーション 撮影を敢行するなど、ニューヨーク支援の成果は充分に上が ったようだ。 脇役まで、全員が前作通りそろっているのも見事だ。 『ブラック・ダイヤモンド』“Cradle 2 the Grave” ジェット・リーとラップ・アーティストのDMX主演による アクション作品。製作と監督は、リーのハリウッド初単独主 演作品『ロミオ・マスト・ダイ』のジョール・シルヴァとア ンジェイ・バートコウィアク。なお、DMXは『ロミオ…』 にも出ていたそうだ。 物語は、DMX扮するトニー率いる窃盗団がダイヤモンド金 庫を襲うところから始まる。彼らは依頼主から、そこに納め られたブラックダイヤモンドを求められ、それ以外は彼らの 取り分として仕事を引き受けたのだ。 しかしそこにリー扮する台湾秘密警察の捜査官スーが現れ、 ブラックダイヤモンドには手を触れるなと忠告される。忠告 は当然無視して、ブラックダイヤモンドを手に入れたトニー 達だったが、それは巨大組織に挑戦する事態を引き起こす。 そしてトニーの愛娘が組織に誘拐されたことから、トニーと スーは手を組んで組織に対抗することになるのだが…。 とりあえず、ジェット・リーのアクションが楽しめる作品。 超大作ではないが、それなりにまとまった作品と言えるだろ う。なお、原題の「2」は「to」の意味で、シリーズの2作 目ということではない。 最後にお芝居を一つ。 『ハムバット〜蝙蝠男の復讐〜』 僕は、舞台の芝居は滅多に見ない。実際、小劇場ブームとや らの影響で、その種の劇団が作った「映画」は何本か見てい るのだが、そういう試写では、いつも決まって、面白くもな いところで馬鹿笑いする連中がいて、困惑してしまう。 結局、観客と舞台の一体感とやらで、場を共有している観客 がそういう反応をするらしいのだが、そういう状況を見せつ けられると、自分が場違いに感じて、余計に舞台から足が遠 のく結果になってしまうのだ。 実は、この公演をした劇団オルガンヴィトーの不二藁さんと いう方も、以前に一度映画を作ったことがある。ただしその 作品は、観客との間に一線を画して、観客に映画を見せよう という意志が明確な印象のもので、僕なりに評価をした作品 だった。 そしてその作品を見せてもらって以来、公演のあるごとに案 内はもらっていたのだが、なかなか足を運ぶチャンスが無か った。普段は下北沢で公演をしている劇団のようだが、今回 は劇団の新宿進出ということで、初めて見させてもらったも のだ。 舞台のセットは、両袖には工事現場の防水シートのようなシ ートが掛けられ、公演の始まる前からかなりの量の水が滴り 落ちている。カーテンのない舞台の中央には、巨大な人間の 脳味噌を思わせるオブジェが剥き出しで置かれている。 物語は、狂言回しと思われる女性弁護士が、東京拘置所の地 下に迷い込んだところから始まる。彼女が接見する予定だっ たのは父親殺し容疑の青年。しかし彼を探す内に、弁護士は 一人の若者に出会い、彼と共に迷宮を旅することになる。 そしてその迷宮では、殺された父親の資産を狙う叔父をはじ め、いろいろな男たちが蠢いている。さらにバットマンまで もが登場する。ということで、中央に置かれた脳味噌の意味 はよく判るというところだ。 正直に言って面白かった。まず舞台の雰囲気が良い。そして 映画のときと同様、この作品でも、物語を語ろうという姿勢 は明確に伝わってくる。この物語性の豊かさで、僕は舞台に 躊躇無く入って行くことができた。 以前に映画を見せてもらったときに、僕はジョージ・A・ロ メロと比較した。それは画面にぶち撒けられる内臓物の衝撃 によるものだった。今回の作品でも、舞台中央の巨大な脳味 噌から感じる内臓物への思い入れは、劇団名共々、健在のよ うだ。 しかし今回の作品は、バットマンの登場からも判るようにテ ィム・バートンを意識しているようだ。照明を落とした舞台 の雰囲気や、見ることはできないが遊園地の存在などにはそ の雰囲気が伝わってくる。この雰囲気がまた心地よいものだ った。 この延長線では、ぜひとも江戸川乱歩の『パノラマ島奇譚』 をやってもらいたいものだ。
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