せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2009年11月21日(土) |
学習発表会と演劇が根付くということ |
11月21日(土) 富士見丘小学校の学習発表会。 インフルエンザによる学級閉鎖で、昨日の生徒向けの発表は延期、今日の保護者向けの発表が初日ということになったそう。 朝9時からの開演に間に合うよう家を出る。 会場の体育館で、前校長先生の宮先生、篠原さん、相馬くんと一緒になる。 寒いので暖かくしてきて下さいと言われていて、それなりに準備をしていたのだけれど、やっぱり冷えるなあと。それでも、午前中いっぱい、12時半まで1年から6年までの発表をとても楽しく拝見した。 以下、プログラム順に・・・ 三年生「すごいぞ、大豆パワー」。授業で学んだ大豆についての発表。近くの中野さんの畑で枝豆ともやしが決闘するという場面がおかしい。芝居じたてになっているのだけれど、みんな生き生きと元気にしゃべっていて、感動した。 四年生「環境 過去から未来へ私たちが守るべきもの」。「3つのR」リデュース・リユース・リサイクルについての発表。各自がつくったエコバッグや、みんなが気をつけて、どれだけ二酸化炭素の排出を減らせたかという、とても具体的な取り組みと研究。玉川上水ができるまでは、時代劇になっていた。すばらしい。 一年生「むかしばなしのせかいへ うらしまたろう」。ご存じ浦島太郎のお話。海の魚たちがコロスになって、歌で物語をすすめていく構成。魚のかぶりものや、衣装に工夫がいっぱい。乙姫さまは登場しないかわりに、玉手箱のやりとりが秀逸だった。魚たち「この玉手箱をあげましょう。でも、決して開けてはいけません」、浦島「何がはいってるんですか?」、魚たち「開ければわかります」。なんだ、このシュールなやりとりは? そして陸へ戻った浦島さんは、百年経っていることにびっくりして、原作(?)ではたしか、自分で玉手箱を開けておじいさんになったと思うのだけれど、今回は、村人が勝手に(!)開けてしまい、おじいさんになってしまうというもの。ここもまた、なんというか不条理感いっぱいで、終演後、篠原さん、相馬くんと「昔話って不条理だよねえ」「別役さんの本みたい」と言い合った。 二年生「音楽劇 スーホの白い馬」。モンゴルの楽器、馬頭琴の由来を物語るお話。絵本で何度も読んでいる哀しい物語。白い馬と少年スーホの友情に涙する。スーホ役、馬役、それぞれ何人かでリレーしていくスタイルなのだけれど、場面場面に演じている彼ら彼女たちの工夫が輝いていた。羊の群れを襲う狼役は一人で、たっぷりと舞台一杯をつかっての演技。かっこよかった。映像を多用しながら、最後にみんなで歌うときは、馬頭琴の映像を、舞台横の壁に、プロジェクターを先生が手でもって映写。これもまたライブなあじわいでよかった。 五年生「音楽とともに世界旅行へ出かけよう」。気球に乗って世界へ行き、その国々の歌を歌っていくという構成。棒の先にボールをつけたものとパネルで気球を表して、どんどん世界をめぐっていく軽やかさがいい。とても演劇的。最初の気球が空に上がっていく場面は、下手のギャラリーを使っていた。 6年生「将来へのプロローグ」。総合の時間にいろいろな職業の方に来ていただいてうかがったお話を元に、それを再現するという構造。 将来何になりたい?というやりとりから、じゃあ○○さんに話を聞いてみようよという構成は毎回同じで、いろいろな人に会いに行く。この会いに行った大人達を演じるというのが、おもしろい。ただ、話を聞くだけでなく、その人になってみると、また違ったことに気がつくのではないだろうか。台本も子供たちが相談して構成したそうだ。内科医、セパタクローの選手、ファイナンシャルプランナー、料理研究家などなど、デフォルメするというのではないけれど、6年生が演じる大人ということで、十分おもしろみが生まれている。 直前に一組、二組がそれぞれ順番に学級閉鎖になってしまい、十分な練習ができなかったそう。たしかに、セリフをしゃべっているのが自信なさそうだったり、誰にしゃべっているのかわからないまま、ただ覚えたセリフを言っているようなところもあった。でも、とてもおもしろい発表になっていると思う。今度の在校生向けの発表に向けて、もっともっとがんばってほしい。 今日も給食をごちそうになりながら、今後のうちあわせなどをする。 どの学年の発表も、いろんなところに「演劇」が顔を出しているのが、おもしろかった。こうやって伝統は根付いていくのだなあと思った。 篠原さんから、雑誌「演劇と教育」をいただく。去年の富士見丘小学校の「お芝居をつくろう」と題材に、篠原さんが「子どもたちと一緒に脚本を作る」という連載をしている。帰りの電車で早速読ませてもらった。上演台本も掲載されていて、とてもなつかしい。去年の今頃、子供たちと一緒にだいほんづくりをしていたことがとてもていねいに書いてある。また、平田オリザさんの全国演劇教育研究集会での講演「なぜ演劇教育なのか?」もとてもおもしろく読んだ。 今年度の卒業公演の授業も来月からスタートだ。ここしばらく続いた、客演、客演出と、何が違うのか、何が同じなのか、いろいろ考える。ともあれ、気持ちがぐっと引き締まった。いい一日だった。
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