石けん作りをはじめて、そのあと日本では手作り石けんや純石けんをエコロジー運動の一環として捉えている人たちが多いことを知って、友人たちに作った石けんをプレゼントしながら説明するうち、
「具体的に石けんを使うと、どんないいことがあるの?」
なんて質問されるようになり....
でも、結局いつもよくわからなかったんですよね。
とりあえず身体には合成洗剤(合成界面活性剤が入っているという意味で、シャンプーなどを含む)より純石けん(固体、液体にかかわらず、合成の界面活性剤を含まないもの)のほうが良さそうだということは、自分の経験でも、ネット上で読める他の人の経験でも明らかなのだけれど、環境にとってはどうなのか?
よく言われることは製品分類が「石けん」となっているもののほうが、排水として流れたときに微生物による分解がはやい。およそ24時間以内としているサイトもあります。でも、合成洗剤も最近はだいぶ分解がはやいものになってきたとのこと。困ってしまうのは、石けん派は「石けんが善」といい、合成洗剤派は「合成洗剤のほうが善」というちょっとヒステリックな情報が多いことです。
そんななかで、排水がほんとうはどうやって処理されているのか、きちんと調べてレポートを載せてくれたサイトを見つけました。●いい石けんをつかおう●です。
水道局に電話で質問をして、そこで教わった下水道科学館に行き、そこで知ったことをもとに、処理場の人からさらに話を聞いて、と、とても丁寧にわかりやすくまとめられています。
そのなかで蛍光増白剤が分解されているのかどうかは、水道局の人も、処理場の人もどうやら意識していなかったこと、シャンプーや毛染め剤に含まれる指定成分のように有害なもの、毒性のあるものでも分解されているのかどうか質問すると「市の決めた水準に沿って処理」しているという答えにならない答えしか返ってきてないことがわかります。いかにもお役所らしい答えですよね。こちらは素人とはいえ、何パーセントが処理されて、何パーセント残ってしまうかが知りたいのに。
排水処理場では基本的には、沈砂池でろ過して、微生物の入った泥を加え、微生物に分解してもらって、またろ過、というプロセスで、泥はコンポスト(肥料)へまわされるそうです。
でも、
微生物が自分を殺してしまうほど強力な合成洗剤を分解するだろうか?
肥料としてリサイクルされる泥のなかには、本当に有害物質は残っていないのだろうか?
という疑問も書かれていました。石けんカスは微生物が喜んで食べるのだそうです。下水処理場は基本的に受け身の施設なので、川に排出される水をきれいにしたかったら、各家庭、企業(工場)で気をつけるしかないとのこと。それなら、微生物が喜んで食べてくれるものを使ったほうが環境には優しい気がします。
わたしはひとみさんのレポートを読んで、パーマや染毛を頻繁にするはずの美容院では、なにか廃水処理をしてから流しているのだろうか?と疑問に思ってしまいました。そうでなかったら、いま髪を染めているのも相当環境に悪いことになります。
川のなかに、水鳥や魚が幸せに泳いでいる姿を見たかったら、もっともっと排水に気をつけなければならないんですよね。
欧州で合成洗剤から石けんに切り替えていくのは、石けんカスのことを考えるとあまり容易ではないので、身体とお皿洗いまでは石けんを使っていても、洗濯だけはいままで石けんに踏み切れなかったのです。"Clean House, Clean Planet" の Karen ですら、洗濯だけはどうにもならないと書いていましたし。こちらの電化製品は作りが荒くてとても壊れやすいので心配だということもありました。
それでも、今回ひとみさんのレポートを読んで、洗濯もできるだけ石けんに切り替えてみようかな〜と思いました。どうしたら、洗濯機を傷めないで石けんを使えるかな?
一般家庭ではなんとかなるとしても、工場などではどうしても合成の洗剤が必要になってくることってあるかもしれないと思うのです。だから、合成洗剤を悪とはしたくない。それはビン・ラディン氏=悪というの同じで、そう定義しても、なにも変わらない、変えられない。だから合成洗剤にはより自然にやさしいものになってくれるよう祈っています。洗剤を作っている会社は「洗剤イヤ子」という名前のぞうきんや洗剤ゼロ洗濯機に抗議している時間があったら、誠実に自社の製品が環境にも人の身体にも優しいことを証明してもらいたいし、よりよい洗剤を開発してもらいたいと思います。
レポートを読むうちに、新しいほんとうに良い合成洗剤が出てくるまでは、自分の家ではできるだけ石けんを使おうと、以前よりも強く思うようになりました。合成界面活性剤って、マンガのほうの「ナウシカ」の粘菌のようなものかな?って思うんです。人間のために人間によって作られたのに、人間に恨まれて。きっと彼らも大きな自然と仲良くなりたいんじゃないかな。
ずっと以前、本格的なエコ生活の実験のためにわざわざ田舎に住んでいる人の掲示板を覗いたことがありました。URL は忘れてしまったのですが、その人は、排水はすべて家の周りの菜園に撒いて、その菜園でとれる野菜を家族で食べているとのこと。そうしたら石けんさえも使うのが恐くなったと書いてありました。
現実の生活で、わたしがこれを真似ることはできませんが、排水を流すときにはこういう意識を持っている必要があるなと改めて思いました。だって、まわりまわって、川や海に行き、雨となって降るのですから。結局流して捨てるものをまた口にするのですよね。微生物さんたちの助けを借りて。
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以下、asahi.com から天声人語の転載です。 (朝日新聞社には断っていないのですが、出典は明記しているし、個人の日記だから、大丈夫かなと踏んでいます)
> ■《天声人語》 10月27日 > > アメリカの中学校の先生が、こんな内容のメールを自分が教えた > 生徒たちに流した。まずはその内容をざっと紹介する。 > > 世界を100人の村に縮小するとどうなるか。その村には「57 > 人のアジア人、21人のヨーロッパ人、14人の南北アメリカ > 人、8人のアフリカ人がいます。70人が有色人種で、30人が > 白人。70人がキリスト教以外の人で、30人がキリスト教」に > 始まってこう続く。 > > 「89人が異性愛者で、11人が同性愛者。6人が全世界の富の > 59%を所有し、その6人ともがアメリカ国籍。80人は標準以 > 下の居住環境に住み、50人は栄養失調に苦しみ、1人が瀕死 > (ひんし)の状態にあり、1人はいま、生まれようとしていま > す」 > > さらに「1人(そうたった1人)は大学の教育を受け、そして > たった1人だけがコンピューターを所有しています」と続く。そ > のうえで「自分と違う人を理解すること、そのための教育がいか > に必要か」を説く。 > > この縮図の数字の根拠ははっきりしない。少々変な数字も交じっ > ているようだ。しかし、こうやって考えてみることの重要さはよ > くわかる。世界一豊かな国で教えることの意義も大きいと思う。 > 先生はまた「もし冷蔵庫に食料があり、着る服があり、頭の上に > 屋根があり、寝る場所があるのなら、あなたは世界の75%の人 > たちより恵まれています」といった解説を加えていく。 > > このメールはJTBサンフランシスコ支店経由で日本のJTBに > 送られてきたものを紹介していただいた。 > > その村にいる2人の日本人としても他の98人のことに無関心で > はいられない。
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