Scrap novel
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2001年10月16日(火) メール

今日は秋晴れで天気がいい。
そのうえ、窓際の席だから、ついつい授業よりも頭がよそに行ってしまう。
(でも・・・まいったなあ・・・体育あるなんて忘れてた・・・)
時間割の変更があったことをうっかりしていた自分に、こそっと溜息をつく。
しかも跳び箱だなんて。
(足のつけ根が、まだ痛いよ・・・
 もう、お兄ちゃん、無茶苦茶広げるから・・・)
考えてハッとなる。
今、すごいこと言わなかった? いや、言ってないか。
考えただけ。でも考えるだけでも恥ずかしいよね。
クラスの中に超能力があるとかいう人間はいないと思ってるけど、
今、頭の中を覗かれたりしたら、大変だよ。
・・・と、机の中で、Dターミナルが小さく音をたて、先生に気づかれないよう、あわてて開いてメールを確認する。
噂の、兄だ。
『タケル。
 きのうは無理させて悪かったな』
そうだよ、まったく悪すぎ・・・
胸中でツッコミを入れつつ、何行か改行された後に出てきた言葉にぎょっとする。
『けど、気持ちよかったろ・・・?』
「き・・・!」
「じゃあ、高石。次、読んで」
(授業中だとわかってて、も〜っ! お兄ちゃん!)
「高石?」
真っ赤になって俯いたまま聞いちゃいないタケルに、後ろの席の子がちょんと肩をつつく。
「高石!!」
席のすぐ後ろまで来て轟いた先生の怒号に、タケルが驚いて反射的に立ち上がった。思わず、大声で返事を返してしまう。

「はい!!気持ちよかったです!!」

教室はどっと笑いにつつまれて、タケルは茹であがったタコのように真っ赤になってしまった。

・・・こんなこと、教室で発表してどうするんだよ。
   もう、お兄ちゃんのバカバカ!


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