にあ日記
酒と薔薇の日々(目次の★は更新分)|酒(過去)|薔薇(未来)
ワタクシにとって、その人は まるで宝石のような人だった。
いつも背筋を伸ばして生きていて、 前だけを見つめ、後ろは振り返らず、 孤高のオオカミのように生きている人。 自分と意見がぶつかるとなれば、 どんなに立場が違おうとキッチリ話をする。 ふと見せる寂しそうな顔さえ、 乗り越える術を自分で知っている証のようだった。
会える時間はとても貴重で、 緊張のしすぎで気が狂いそうになったものだ。 その分、会えるときは自分の役目をキッチリこなし、 彼の言うことには無理なことでも大抵従ってきた。 …それでもいつもダメ出しばかり食らっていたけど。
魔法が解けて、宝石はガラス玉になった。 強欲な人間は、深追いをしたが故に大きな傷を負う。
ガラス玉でも十分輝いてはいるけれど、 ソレは自分が求めていたモノではない。 そして、青い鳥の物語のように 本当に大事なモノは傍にある事に気づく。
多分ワタクシは慣れていないのだ、 自分が好きな人と会うときに 気を張り過ぎないで済むことも、 こんなに一緒にいる時間が長いことも、 「役割」を果たさなくても受け入れてもらえることにも。
だからといってソレは言い訳にはならない。 「どうしたらいいんだろう」ではなく、 自分でどうにかしていこう。 これ以上大切なモノを失いたくないから。
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