スコヤカな時間
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お昼休みに、近所のお店に買い物に行こうと外に飛び出した。 歩いても1分とかからないお店なので、コートも羽織らず事務所で履いているサンダルのままで。
近いからと言っても、外は雪が降っていて風もある。 寒い&雪で濡れるということもあって、思わず駆け出した。
数歩駆け出したとたんに、足を滑らせて体制を崩した。 で、まず膝が地面についた。 そして、手の平も地面についた。
ついた手の平は雪のせいですべり、そのまま前の方へ・・・。 結果、ヘッドスライディングのような状態で私は地面に倒れていた・・・。
顔をあげると、目の前に4本の足が並んでいた。
起き上がろうとすると、目の前に立っていた二人のカップルが手を貸してくれた。 立ち上がったら、腕はもちろん、胸のあたりから膝のあたりまで雪まみれで その雪を払おうとすると、カップルの二人も一緒に雪を払ってくれた。
その時、私はその状態に違和感を感じていた。
なぜなら、その二人は無言だったから。
普通誰かが転んで、起き上がるのに手を貸したりするときって 「大丈夫ですか?」って言葉が自然に口から出てくるものでしょ?
でも、その二人は無言で私に手を差し出し、一緒に雪を払ってくれたのだ。
あまりも豪快な転び方をしたことで恥ずかしさの方が大きくて この場を取り繕って、早く立ち去らないと!と思い、何か言おうと思っても 相手が何も言わないせいか、私も言葉が出てこなかった。
で、雪が払い終わった時に、女の子が初めて口にした言葉は「OK?」だった。 あー!この人たちは日本人じゃないんだ!とその時にやっとわかって 向こうがOKと言うなら、私も・・・と思ったけど、 とっさの一言とは難しいもので、結局私が言った言葉は「大丈夫です・・・」だった。
たぶん、台湾か香港の人だろうと思う・・・。 雪&温泉ということで、台湾や香港では北海道への旅行がブームだそうだ。 見た感じは日本人となんら変わりなくて、通り過ぎる時に聞こえてくる言葉で え?と思うことも多い。
結局、このカップルと交わした言葉はこの一言だけだったんだけど なんだか、すごく親切な気持ちに触れたという気がした。
パニック状態で「どうもありがとう」と言えなかったのが心残りだけど。 私のこの気持ちは彼女達に届いてたらいいな。
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