霞的迷想



失われ行くものへの憧れ

2002年06月08日(土)

滅び行く文明だったり、崩壊する世界だったり、もっと現実味があるところでは破綻した人間関係だったり。一体今まで、どれだけのものが失われて行くところを描いてきたんだろうか。
「失われた古代文明」なんて言うと、ロマンの香りが漂ってくるけれど、失われる前にそれがどんな世界を形作っていたのか、そういうことに興味がないわけでもないんだけど、私はただ、それが失われていく様を想像する。
「滅びの美学」なんて大仰なことを言うつもりもない。ただ、取り戻せない何かを思って慟哭する誰かの姿や、喪失の痛みをこらえてそこに立つ誰かの姿を思うと、憧れに似た感情が芽生えるだけだ。
悪趣味……? そうかも知れない。
だけどもしかしたら私が憧れているのは、それ程までに執着する、その強い思いが自分の中にないことを知っているからなのかも知れない。

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