2001年11月01日(木)
また、店に来る客の話。
私が「彼」を気に懸けるようになったきっかけは、まだバイトを始めたばかりの頃に遡る。
私がバイトしている店の所在は、自宅から徒歩●分という究極の地元で、そのために小学・中学時代の友人・知人などと出会す可能性が、ごく当たり前に高いものである。 特に、それが始めたばかりの頃となれば、こちらは大学出たて―――同級生や後輩なら、まだ学生=親元にいてもおかしくない状況で、実際、知り合いともよく顔を合わせることになった。
「彼」は私の中学時代の後輩に似ていた。だから、一番最初は本人である可能性も否定しきれず、顔見知り「かもしれない」相手に対するときの曖昧な笑顔を「彼」に向けた。 「彼」は怪訝そうな顔をして、それで人違いと知ったのだが。
そのばつの悪いような思いが、いわば「きっかけ」だった。
そもそも「彼」は長身で、年齢的にもまだまだ成長の余地がある。 そういった点だけでも十分、気に入りのリストに加えられる条件を備えていた。 成長の余地―――後々知ったが、当時「彼」はまだ中学生だった。なんというか、最近の子供は育ちが早いものだ(--A 知っている人間に似ているというのも親しみの元になった。
が、最近、それだけではないような気がして何かが引っかかっていた……
話は変わるが、学生時代「木下さん」と心の中で呼んでいた女の子を見ると、どうと言うこともないはずなのに嬉しくなったものだった。「木下さん」と同じバスだっただけでいいことがあるような……というより、意欲が湧いてくるのだ、「木下果林」に関わる話に限らず、何かの話を書き進めようという気持が。
「彼」を見かけたときに感じる嬉しさは、丁度それに似ていた。 あまりにも時間が離れすぎていて、何のことなのか思い当たらずよけいに気に懸かることが続いていたけれど。
……と、書いてしまうと、まるで自分が「バイ」か何かであるように見えなくもないな(苦笑)
最終的に、この自問を解くきっかけをくれたのは、やはりよく店に来る「彼」と顔見知りの女子高生の言葉だった。 正確にどう言ったのかまでは覚えていない。けれど「彼」の身長について、のび過ぎとも言える身長について、彼女はごくごく忌憚のない発言をしたのだった。
その歳にしては高すぎる身長と、それなりの顔立ち―――「のびすぎ」だと言ったのは、担任とクラスメート。 「六道夏也」……そう、まるで「なっくん」のような特徴を、「彼」は持っていたのだった。
自分の書く小説の主要キャラクターにマッチングする相手が身近なところにみつかったら、それは嬉しいだろうよ、自分。 「木下果林」に加えて「六道夏也」……そう思うたびにおかしさがこみ上げてきてどうしようもない。 きっと、本人達から見たら嫌な店員なんだろうなと反省しつつ、明日も過剰な笑顔を抑えられないのだろう。
問題は、私自身の持つ「偶然能力」……だけどまさか、「神上綾史」なんぞに巡り会えることはないだろう。 あったら……ゆゆしき問題だな(爆)
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