思いつき日記
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『彼女たちは幸せを生きている。どんなに学んでもその幸せの域を出ないように 教育されている。たぶん、あたたかな両親に。そして本当に楽しいことを、 知りはしない。どちらがいいのかなんて、人は選べない。その人はその人を 生きるようにできている。幸福とは、自分が実はひとりだということを、 なるべく感じなくていい人生だ。私も、そういうのいいな、と思う。 エプロンをして花のように笑い、料理を習い、精一杯悩んだり迷ったり しながら恋をして嫁いでゆく。そういうの、すてきだな、と思う。美しくて 優しい。ことにひどく疲れていたり、ふきでものができたり、さびしい夜に 電話を掛けまくっても友人がみんな出はらっていたりする時、生まれも育ちも 何もかも、私は自分の人生を嫌悪する。すべてを後悔してしまう。』
吉本ばなな『キッチン』
この人の文章を読んでいると、不思議と生きる力が湧いてくる気がする。(単純) 何が一番大切で、何が一番辛い事なのかを知った気になった…
……
大学時代の友達からメールが届いた。年賀状をもらったのに返事がかけなくて ごめんメール。メールをするのもほぼ一年ぶり。正直うれしい。 色々彼の近況を綴ったこのメールはかけがえない友達を持てた事を実感できて、 飛び上がるほど喜んだ。
『あまりにも不確かな時間や気持ちの流れの中で、五感には色々な歴史が刻み 込まれている。さして重要でなかった、かけがえのないことが、ふいにこんな 風に…で蘇ってくる。』
吉本ばなな『満月』
たった一つのメールで、友達と会っていない5年間が吹っ飛んだ。 そこにいたのは紛れもなく、大学時代色々な時間を共有した遺伝子に刻み込まれた 歴史だった。電話で長話したこと。飯食いに行ったこと。一緒に町へ繰り出した こと。下宿の風呂が壊れて銭湯に行ったこと…
久しぶりに会って話をしてみたいものだ。 隣の県に住むのに、まったく会っていない。
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