日馬富士「礼儀、直すのが先輩の義務だと」 引退会見(朝日新聞 2017.11.29)大相撲の秋巡業中にあった暴行問題で、日本相撲協会に引退届を出し受理された横綱日馬富士(33)=伊勢ケ浜部屋=が29日午後、九州場所の宿舎がある福岡県太宰府市で記者会見した。日馬富士は「世間を騒がせ、支えてくださった皆さんに迷惑をかけて本当に申し訳ない」などと語った。 会見の冒頭、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が日馬富士の引退について、うつむき加減で文面を読み上げた。「本日、横綱の引退届を提出しました」。伊勢ケ浜親方は肩をふるわせ、その声は時折、上ずった。横に座った日馬富士は正面を見詰め、涙を見せることはなかった。 日馬富士は10月25日、鳥取市内の飲食店で同じモンゴル出身の幕内貴ノ岩(27)に暴行を加えたとされる。「貴ノ岩関にけがを負わせたことに対し、横綱としての責任を感じ、本日をもって引退をさせて頂きます」と日馬富士。師匠とともに30秒近く、頭を下げ続けた。 暴行に至った経緯を問われると、「先輩横綱として、礼儀と礼節がなっていないと思い、直すのが先輩の義務だと思っている。しかったことが、彼(貴ノ岩)を傷つけ、世間を騒がし、ファンや協会に迷惑をかけることになった」と説明。「これからのことを思ってしかったが、行きすぎたことになった」と後悔ものぞかせた。 暴行は宴席で行われたとされる。日馬富士は酒癖について問われると、「お酒を飲んで人を傷つけたり暴れたり、酒癖悪いといわれたことは一度もない」と断言。酒との向き合い方を問われ「酒飲んだからこその事件じゃないので、これは」と語気を強める場面もあった。 およそ30分に及んだ会見。最後の質問は、横綱白鵬(32)=宮城野部屋=が九州場所千秋楽の優勝インタビューで「日馬富士関と貴ノ岩関を再び土俵に上げてあげたい」と発言したことへの感想だった。日馬富士は「その気持ちはうれしかったです」と淡々と述べると、師匠とともに再度、頭を下げて会場を後にした。 引退後の人生について問われた日馬富士は「相撲界あってのわたしなので、相撲界に恩返ししていきたいという気持ちはあった。相撲道で学んだことを生かして、迷惑をかけないようにしていきたい」と話した。このような形での引退となったのが残念ですね。いくら相手の態度が悪いからといって、横綱として先輩力士として後輩を指導するにしても、怒りに任せて怪我を負わせるような暴力行為に及んでしまった時点で負けなんです。土俵での取り組みで怪我をさせてしまったのなら仕方のないことかもしれませんが、プライベートの場での暴力行為。相手に落ち度があったとしても横綱といえど許されるものじゃないでしょう。品格や礼儀が一番重んじられる横綱ならなお更のこと。これは一般人なら傷害罪や刑事事件に問われる事案ですよ。力士だから横綱だからモンゴル人だからで軽く扱ってしまっていいのか疑問です。そして、貴乃花親方が被害届けを出さなければ隠蔽しようとした相撲協会の体質も2007年の時津風部屋力士暴行死事件からなんら変わっていない印象を持ちました。相撲協会は「警察に被害届を出す前にこちらに相談して欲しかった」とか「貴乃花親方が騒ぎを大きくした」いうようなことを言っていましたが、これらの発言から受ける印象では届け出ていたら確実に内々で処理したり、どっちも悪い喧嘩両成敗的な幕引きを選ばされて握り潰していたことでしょう。これまでも態度の若手力士への指導として鉄拳制裁のようなことが頻繁にあって内々で処理していたのではないでしょうか。だからこそ今回も事態の重さを感じておらず、この事件でマスメディアのインタビューなどに出てくる横審や元力士や相撲記者といった人たちが指導での鉄拳制裁は角界ではよくある話なのになんでこんな騒ぎになっているのか理解に苦しんでいる感覚が見て取れました。貴乃花親方はそういう昔からあるずるい体質や暴力行為が嫌だからこそ、まず最初に警察に被害届を出したと思われます。ところで事件の発端となった親睦会に出席していた他のモンゴル出身力士たちは一ヶ月減給とか何らかのペナルティとかないのでしょうか。実は裏では力を使った指導はよくある話なのかは分かりませんが、内々で済ましてしまって騒ぎになるまでは隠蔽しようとしていたわけだし。国技だ品格だ礼儀だと言うのであれば、暴力行為を有りとする行き過ぎた指導なんて時代錯誤な感覚を改めるべきなんじゃないでしょうか。