安保批判報道「懲らしめる」=自民・大西氏が再び問題発言―党幹部は不快感(時事通信 6月30日)自民党の大西英男衆院議員(東京16区、当選2回)は30日午後、安全保障関連法案に批判的な報道について「懲らしめなければいけないんじゃないか」と述べた。また、「誤った報道をするようなマスコミに対して広告は自粛すべきじゃないか」とも語った。国会内で記者団の質問に答えた。 自民党有志の勉強会で報道機関への圧力を求める発言が相次いだ問題で、党執行部が火消しを図っているさなかだけに、今回の発言がさらに波紋を広げるのは確実。同党の二階俊博総務会長は首相官邸で記者団に「言いたい放題を言っていい、というものではない」と不快感を表明した。 大西氏は25日、保守系の党所属議員有志が開いた文化芸術懇話会で、「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番。経団連に働き掛けてほしい」と述べ、党執行部から厳重注意を受けた。この発言について、大西氏は30日、「政治家が財界に圧力をかけて、マスコミを懲らしめろなんてことは一言も言ってない」と釈明し、「問題があったとは思わない」との認識を示した。 百田尚樹氏:「本気でつぶれたらいい」講演で沖縄2紙に(毎日新聞 6月28日)作家の百田尚樹氏は28日、大阪府泉大津市で講演し、自民党勉強会での「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」との自らの発言に触れ、「その時は冗談口調だったが、今はもう本気でつぶれたらいいと思う」と話した。言論の自由ですから報道機関への批判などもありなんですけど、百田尚樹氏といい大西英男議員といい政府が火消しに追われているのを知りながら、反省するどころかさらに火に油を注いでいるのですから空気が読めないというのは致命的ですよね。安倍首相も「もう黙っといて」と頭抱えてることでしょう。大西議員なんて報道圧力を匂わす発言を再びしたのは、もしかして保守派を装って勉強会に参加しながらも、本当は安保法案を潰したくてわざとやってるんじゃないかと疑ってしまいますよ。民主議員「書いた記者を外せ!」 政権担当時にも“報道圧力”(産経新聞 6月30日)自民党の若手議員が開催した勉強会「文化芸術懇話会」における発言が、「報道機関への圧力」だとして批判されている。新聞各紙は「自民の傲慢は度し難い」(朝日)、「言論統制の危険な風潮」(毎日)などと怒りの拳を振り上げ、本紙も連日、この問題を詳しく報じているが、そのたびに4年半前の悲しい体験を思い出す。 当時、私は政治部の「与党キャップ」という立場で永田町にいた。民主党が政権の座に就き、1年ちょっとたった時期だ。 ある日、民主党の某議員から議員会館の自室に来るよう言われた。こうした場合は大抵、記事への抗議だ。重い足取りで部屋に向かったことを覚えている。 以下、密室での話なのでA議員と記す。案の定、A議員には、その日の政治面の記事が「事実と異なる」と訴えられた。詳しく話を聞くと、確かに取材が甘かったことは否めない。私は素直に謝罪した。「訂正文の掲載かな」と覚悟していたところ、A議員は意外なことを言い出した。 「書いた記者を外せ」 断っておくが、「外してほしい」ではなく「外せ」という命令口調だ。最初は「冗談」だと思った。しかし、A議員の表情が「本気」だったので、すぐさま「それは話の筋が違う」と反論した。すると、A議員は別の記者の名前を挙げて「○○はいまだに××(記者クラブ名)にいるじゃないか。あいつも外せ」と言い放った。 最近もテレビの討論番組でさわやかなお顔をお見かけするが、あのときのA議員とは別人のようで、自分が体験したことが自分でも信じられないときがある。 もちろん、「外せ」と指摘された記者は「外される」ことなく、たくさんの記事を書いた。しかし、民主党はその後も、前原誠司政調会長(当時)のことを「言うだけ番長」と書いたら、記者会見から本紙記者を排除した。別の記者は、菅直人首相(同)の記者会見で挙手しても挙手しても無視され、ついに質問の機会を与えられなかった。 これはわが社だけが標的になったわけではないが、松本龍復興担当相(同)が被災地でテレビカメラが回っているにもかかわらず、「今の最後の言葉はオフレコです。いいですか? 皆さん。書いたらもうその社は終わりだから」と報道陣を恫喝(どうかつ)したこともあった。新聞社の社員として、広告料収入がなくなるのも嫌だが、記者として取材できないことの方が、もっとつらい。ただ、民主党という政党を担当したことで、「圧力に屈しない」という新聞記者に最も大事なことを学ばせてもらったと、今ではむしろ感謝している。 民主党には最近、記事以外の私的な発信についても、記者を「名誉毀損(きそん)だ」と刑事告訴した議員がいる。新聞記者としてだけでなく、一人の人間としても「圧力に屈するな」と鍛えてくれているのだろうか。 岡田克也代表は記者会見で、自民党の若手議員の発言をつかまえて、「おごりでしょうね。自分たちに権力があると、メディアを自由に左右できるという、そういうおごりの結果の発言だと思う」と語った。私は、4年半前の民主党の「おごりっぷり」は、今の政権の比ではなかったと思っているのだが…。「電波止めるぞ!」民主党幹部が目の敵にする表現の自由(現代ビジネス 2012年3月13日)「間違った情報ばかり流すなら、電波を止めてしまうぞ!政府は電波を止めることができるんだぞ。電波が止まったら、お前らリストラどころか、給料をもらえず全員クビになるんだ」 いまどき、こんな暴言を吐く政治家がいたとは驚くほかないが、これは民主党の輿石東幹事長の発言である。民主党にも報道に圧力を加えようとする発言の数々があったかといって、自民党の失態が相殺されることはないのですが、ひとつ思うのは民主党のブーメランが発覚すると同時にマスメディアのダブルスタンダードも発覚して興味深いということです。例えば報道圧力の問題にしても、輿石は当時幹事長で前原氏や松本氏は大臣の立場を利用して報道記者を恫喝したりしているわけです。ところが今回のようにマスメディア総攻撃で自分たちの立場を守るまさにこれが集団的自衛権の行使じゃないかと思うほどのことはせず、ほとんど問題視されませんでした。だから、自民党だからやること言うことが気にくわないのだけで、実際は大したことがないという姿勢がよくわかりますよ。ところで、民主党政権時代に松本氏がテレビカメラや記者の前で「今の発言はオフレコです。書いたらその社は終わりだからな」と脅した件ですが、見兼ねた被災地の東北放送が勇気を出して夕方のニュースで流したことで、発覚し松本氏は辞任に追い込まれたほどの大騒ぎになりましたけれど、もし東北放送が報道してなければ他の局や新聞社は沈黙したままだったのだろうかと今更ながら思いました。