パニックと極度の情報錯綜 「やめた方がいいですよ」 枝野氏は菅首相にダメ出していたが…(産経新聞 2月28日)福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)の報告書から浮かび上がるのは、「パニックと極度の情報錯綜(さくそう)」(報告書)に陥り、「テンパッた」(同)状況となった当時の菅直人首相や官邸中枢が、現場に無用な混乱を招き、事故の危険性を高めた実態だ。調査の結果、菅氏による「人災」が証明されたといえる。 「厳しい環境の中でやるべきことはやった。一定の達成感を感じている」 菅氏は昨年8月の首相退陣表明の記者会見でこう自賛した。だが、報告書が指摘するのはむしろ、やるべきでないことばかり繰り返した菅氏の姿だ。 報告書によると菅氏が東日本大震災発生翌日の3月12日早朝、東京電力福島第1原発を視察することに、当初は枝野幸男官房長官(当時)も海江田万里経済産業相(同)も福山哲郎官房副長官(同)も反対だった。 ところが、「言い出したら聞かない」(報告書)菅氏は視察を強行する。視察に同行した班目春樹原子力安全委員長は現地に向かうヘリ機中で種々の懸念を説明しようとしたが、菅氏は「俺は基本的なことは分かっている。俺の質問にだけ答えろ」と聞く耳を持とうとしなかった。また、菅氏は第1原発に代替バッテリーが必要と判明した際には、自分の携帯電話で担当者に「大きさは」「縦横何メートル」「重さは」などと質問し、熱心にメモをとっていた。同席者は「首相がそんな細かいことまで聞くというのは、国としてどうなのかとぞっとした」と述べたという。 菅氏が官僚機構に不信を抱き、セカンドオピニオンを求めるために3月中に次々と6人もの内閣官房参与を任命したことには、当時からメディアで「船頭多くして船山にのぼる」という批判が強かった。この点について枝野氏は事故調に「常に『やめた方がいいですよ』と止めていました」と証言した。官邸中枢スタッフもこう述べている。 「何の責任も権限もない、専門知識だって疑わしい人たちが密室の中での決定に関与するのは、個人的には問題だと思う」菅氏が原発事故の初期段階以降も他の閣僚や事務レベルに適切な権限委譲を行わず、引き続き直接的な関与を続けたことへの批判も指摘されている。 「(政府と東電の)統合本部の士気を低下させるから、なるべく菅さんが出てこないように言ってほしいと何人かから頼まれた」 これは官邸スタッフの言葉だ。同様の証言は報告書を待つまでもなく、当時から枚挙にいとまがない。 報告書は「菅首相の個性が政府全体の危機対応の観点からは混乱や摩擦の原因ともなったとの見方もある」と指摘する。ただ、これは「前首相」に一定の配慮を示した控えめの表現だろう。原発事故、官邸は泥縄対応 民間事故調が報告書 (西日本新聞 2月28日)東京電力福島第1原発事故について「福島原発事故独立検証委員会」(民間事故調、北沢宏一委員長)は27日、事故当初の官邸の対応について「泥縄的で、無用な混乱により状況を悪化させる危険性を高めた」とする報告書をまとめた。 菅直人前首相ら官邸で対応に当たった政治家や専門家らから事情聴取。原子力災害対策マニュアルが想定しない地震・津波との複合災害に対し、省庁や事業者による役割分担を飛び越えて官邸が介入したが、事故の拡大防止にはほとんど貢献しなかったと結論づけた。 そうした状況に関し、官邸中枢チームの1人は「場当たり的」と表現したと記した。菅首相が介入、原発事故の混乱拡大…民間事故調(読売新聞 2月28日)東京電力福島第一原発事故に関する独立検証委員会(民間事故調、委員長=北沢宏一・前科学技術振興機構理事長)は27日、菅前首相ら政府首脳による現場への介入が、無用の混乱と危険の拡大を招いた可能性があるとする報告書を公表した。 報告書によると、同原発が津波で電源を喪失したとの連絡を受けた官邸は昨年3月11日夜、まず電源車四十数台を手配したが、菅前首相は到着状況などを自ら管理し、秘書官が「警察にやらせますから」と述べても、取り合わなかった。 翌12日朝、菅氏は周囲の反対に耳を貸さず、同原発の視察を強行。この際、同原発の吉田昌郎前所長(57)が東電本店とのテレビ会議で、「私が総理の対応をしてどうなるんですか」と難色を示す場面を目撃した原子力安全・保安院職員もいたという。 報告書は、官邸の対応を「専門知識・経験を欠いた少数の政治家が中心となり、場当たり的な対応を続けた」と総括し、特に菅氏の行動について、「政府トップが現場対応に介入することに伴うリスクについては、重い教訓として共有されるべきだ」と結論付けた。首相がベント指示、「米ではありえぬ」 元NRC委員長(朝日新聞 2月28日)原発事故は初めてのことで誰が総理でも、どの政府でも混乱していたであろうけど、菅は「俺は原子力に詳しい」と豪語し分ったふりをして、細かいところにまで口出しして出しゃばってくるから無用の混乱をいくつも招く結果になったわけで、誰もが視察を反対したのも、混乱し対応に追われている現場に総理が行けば、現場で指揮している所長が、総理への説明に時間を取られてしまうのが誰の目に見ても明らかだからですが、それでも視察を強行したのは、菅は左翼活動家の頃から、美味しいところにだけ表れて仕切りたがったという性格からして、視察にカメラマンを同行させて、現場でベントを指示し、それによって原発事故が収束すれば、自分の支持率がアップすると考えていたからでしょう。原発対応の議事録を取っていなかったことが問題になっていますが、調査報告からだけでも判明するこの迷走ぶりでは、議事録があったら、もっと酷い有様が記録されているので、とても表に出せないでしょう。先日、公開されたアメリカ政府の考えうる最悪の事態までを想定していた3000ページ超の原発事故報告書に比べればお粗末なものだろうし。